■シリーズ1 2 3
遅くなりました。
続きです。
俺『○美~っ おーい』
あまり体力を使わないように、時間を空けて呼び続けていました。
かなりの時間そんな状態が続いて、時計を見ると9時を過ぎていました。
俺『起きた時は6時くらいだったから・・・あれから3時間か・・・』
ただ、呼び続けたりしていた間に、ずり落ちた掛け布団や毛布を足でなんとか拾い上げ、とりあえずの暖は確保していました。
ただ手錠で固定されている両腕だけは冷えきっていたので、両腕にうまく毛布を掛けれないかなーと思いながら、あれこれ毛布と格闘していたその時です・・・
ゴトンッ
下で何か音がしました。
俺『○美?大丈夫なのか?』
返事はありません。
しかし、最初の音の後にリビング方向に向かって、体を引きずるような音が聞こえて来ました。
そして、何かを探している様な音が聞こえ、それが止むと、また体を引きずる音が聞こえてきました。
その音は階段を登って来ています。
最初の音が聞こえてから、15分くらい経った頃でしょうか。
ドアの向こうに、手が見えました。
俺『○美っ!』
そして、徐々に頭が見え始めた時、
俺『んっ?』
そこに見えたのは、テレビのリモコンを握りしめた彼女でした。
そして、ベッドまで来た彼女が、弱々しい声で
彼女『コーヒー忘れた・・・取ってくる・・・』
俺、声が出ません。
しかし、ハッとして
俺『○美っ!いいからっ 行かなくて!』
全身を強く打ったと見られる彼女が、ベッドに横になります。
血は出てないようで、少し安心しました。
俺『おいっ大丈夫か?』
彼女『うん・・・何とか・・・』
俺『死んだのかと思ったぞ』
彼女『私も・・・』
小学生の頃から柔道をやっていた彼女は、無意識に体に染み付いた“受け身”で体への被害を最小限に防いでいたのでした。
しかし、階段から転げ落ちた衝撃で気絶していた様です。
彼女『はい携帯・・・』
そう言って、テレビのリモコンを力の限りを尽くして渡されました。
俺『・・・ありがとう』
そのまま、彼女は眠り?気絶?してしまいました。
そして、彼女が一応無事だった事でホッとしたのか、そのまま僕も寝てしまいました・・・。
しばらくして・・・
寒くて目が覚めました。
僕『んっ?』
彼女がいません。
何となく布団は暖かいので、少し前までは隣に居たようです。
少しの間、ボーっとしていると、
トントントントン
階段を昇って来る音です。
ガチャ
僕を見て、
彼女『起きた?』
俺『おい、体大丈夫なの?』
彼女『うん、寝たら良くなった。痛いけど。』
あれだけの衝撃で?打撃のケンカしたら勝てないなきっと。
なんて想像しながら、ボリボリと体をかいた。
彼女『フフフ』
俺『どうした?何で笑ってんの?』
彼女『・・・手』
俺『ん?』
うおーっ手錠が取れてる!
俺『えっ?何で?どうやって?』
彼女を見ると、鍵を手に持ってブラブラさせながら、
彼女『怒らない?カバンに入れたの忘れてた。ゴメ~ンねっ』
俺『良かったーって、ふざけるなー!(怒)』
彼女に飛び掛かろうとした瞬間、
ガシャッ
足とベッドが手錠で繋がれています。
彼女を見ると、勝ち誇った様な、蔑んだような目をして、
彼女『昨日の続き始めようか?』
その表情と言葉にゾクゾクっと快感の嵐がやって来て・・・
俺『・・・はい』
そして、史上最高のプレイとなりました。
この事件の後、今まではその日の気分でSとMを交代していましたが、完全に役割が決まってしまいました・・・。
みなさん、手錠と鍵はセットでお忘れなく!
ありがとうございました。
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怖い話投稿:ホラーテラー 安比さん
作者怖話