中編4
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創作2(S5)

Run away

広い古城の中をニックとニーナの2人は必死の思いで出口目指してひた走る…

背後からは奴の気配と殺気が迫っていた。

1時間前…

2人は食堂に居たナイトメアを倒した後、城内の地上フロアの探索を続けていた。

結局、5階建ての古城の中に2人が探していたN.E.S.U.の消息不明の隊員達の姿はなく、居たのは食堂でニーナが見事な体術で倒したのと同じタイプのナイトメアが2体だけだった。

一度、1階に戻った2人は、先程は気が付かなかった地下への入り口をそこで見つけた。

そして、そこへ足を踏み入れた…

「くそ、真っ暗だ…

おいニーナ、装備品の中にあったナイトビジョンゴーグルはもってるよな。」

「ええ、あるわ。

これを使わないとここから先に進むのは難しいわね。」

「…よし、行くぞ。」

2人は地下の狭い石造りの通路を進んだ。

通路の両脇は、地下牢になっていた。

さらに進み通路を突き当たったところに、一枚の鉄の扉が現れた…

「ニック、これなんか開けたらヤバそうじゃない?」

「やばそうだろうと、そうでなかろうと、先に進まなきゃならないんだ。

……!?鍵は掛かってないな。開いたぞ。」

「!?」

「!?」

「なんだ、この広い空間は…」

「すごーい。お城の地下ってこんな風になってるんだ。」

扉を抜けた2人を出迎えたのは、だだっ広い地下の空間だった。

「うん!?ニック、何かここ壁が円く周りを囲んでるような作りになってない?

なんつたっけ……

あのローマにあった…」

「コロッセウム。円形闘技場だ…」

「そう、それそれ。」

「こんな場所に…なぜ闘技場が…」

ニックがそう言った時、闘技場の暗闇の中からこの世のものとは思えないような何者かの咆哮が聴こえる。

そして、何かが羽ばたく羽音…

それは、2人のナイトビジョンゴーグルの緑色の視界の中に、次第に姿を現していく。

体長は凡そ3m。

暗闇に黄色い眼光を光らせ、その上半身には銀の甲冑、右手には2mはあろうかという巨大な槍、左手には盾。

そして、まるで馬の様な、しかし、背の辺りからコウモリの様な羽の生えた下半身。

そう、それは間違いなく、ジャック達が乗っていたヘリを襲ったナイトメアだった。

「まずい、一度退却するぞ、ニーナ!!」

「え、ちょっと何で!?

まだ戦ってもないじゃない!?」

「奴は強いナイトメアだ!

本部の特殊対策班の援護が要る!!」

「まだ分からないじゃん。」

「バッ…、よせ、ニーナ!!」

まるでケンタウルスの様な姿のそのナイトメアは、自分に突っ込んでくるニーナを確認したのか、再び咆哮を上げ、右手の大槍を高くかざした。

ニーナは、高く跳び上がり、ナイトメアの左顔面に向かって蹴りを繰り出した。

だが、ナイトメアはいとも簡単にニーナの攻撃をかわし、左手の盾でニーナを弾き飛ばした。

「……ッ!この…!!」

ニーナは闘技場の壁を蹴り体勢を整え、再びナイトメアに今度は脚を狙って9mm硫酸弾が装填されたMP-5の引き金を引いた。

『グォォオオッ…!!!!』

弾は見事にナイトメアの脚に命中、弾頭に仕込まれた硫酸がナイトメアの脚を焦がした。その痛みで悲痛な咆哮を上げたナイトメアだったが、ニーナのこの行動がナイトメアを逆上させた。

ところ構わずに振り回されるナイトメアの大槍。

地下闘技場の壁や床がみるみる内に無惨な姿になっていく。

振り回される大槍の速度はまるでヘリのローターの様なスピードで、さすがのニーナも、そこへは飛び込めなかった。

「ヤバいわね!

よし、ニック、一時退却よ!!」

「この馬鹿が、なぜあいつを怒らせる様な真似をした!!」

「いや〜、勝てるかも?

とか思ったんだけど…

うん。やっぱりあいつには勝てない!」

「………、二度と自分勝手な真似はするな、チームを危険に晒す奴はこの仕事には向いていない!!」

「…………」

広い古城の中をニックとニーナの2人は必死の思いで出口目指してひた走る…

背後からは奴の気配と殺気が迫っていた。

「こちらストライク1、マディソン少佐。ターゲットのナイトメアと遭遇、現在コードレッド。

至急、特殊対策班の出動を要請する!」

「こちら指令部。

了解した。特殊対策班ユニット8を増援としてそちらに送る。凡そ10分でそちらに到着するはずだ。」

「わかった。

…それから、今回のナイトメアは空も翔べるタイプだ。

航空支援も手配してくれ!」

「了解、アイアンメイデン隊にスクランブルを発信する。

但し、こちらは時間が掛かる。それまでは、何とか持ちこたえてくれ。」

「了解、要請承諾に感謝する。」

狭い通路をひた走り、何とか城内の踊り場まで辿り着いた2人だったが、2人の頭上を飛んで先回りしたナイトメアが2人の前に立ちはだかる。

「やっぱりこいつから逃げ切るのはキツイか…」

「どーするの?ニック…」

「ここなら援護が来れば直ぐに気付いてくれる筈だ。……ニーナ、援護が来る迄のあと9分。まだ戦えるな?」

「あったり前でしょ…」

2人はナイトメアに、宣戦布告の意も込めて、MP-5の銃口を向けた…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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