今から三年前、僕がまだ小学生だった時の話です。
大した話でもないので読まれても恐怖は感じないでしょうが、当時の僕らには恐怖体験でしたので投稿させて頂きます
僕らの通っていた小学校の裏には一階建ての小さな廃屋があり、その廃屋には
『台所へ行くと包丁が飛んでくる』
『テープレコーダーに声を吹き込むと知らない声まで録音される』
『懐中電灯等の光を点けると無数の人影が映る』
『一人で入ると終始、誰かに耳元でささやかれる』
等の、好奇心旺盛な小学生にとっては侵入を試みたくなってしまうような様々な噂が流れています。
その噂を確かめたいという友人の案により、いつも一緒にいるメンバーで、その廃屋へ入ることになりました。
建物のドアは破壊されているので中へは簡単に入ることが出来ます。
友人の試したかった噂は上にも書きました『テープレコーダー』です。
テープレコーダーなんて持っていない僕達は代用として携帯のムービーを使うことにしました。
日中なのですが、中に入ると窓が板で閉ざされている為に光はほとんど差し込んでいません。
友人は携帯を扱い始め、暗く殺伐としたフロアに『ピー』とムービーの開始音が不気味に響き渡り
「お邪魔しま~す」
と、声を吹き込み始め先へと歩き出します。
「この家ボロいですね~」
中は闇に包まれているので、僕らは携帯のライトを頼りに友人に付いて行き、噂の台所へと到着しました。
しかし、包丁が飛んでくるどころか、台所用品は何一つ無かったので
「ここには何も無いんですねぇ、用も済んだし帰りま~す」
そして出口へと向かい、出る時に友人は一言
「お邪魔しました~」
『ピッ』っと終了の音が鳴りました。
僕らは直ぐにはそのムービーを再生せず、友人宅へ行くことになったのですが、部屋で再生した僕らは顔面蒼白になっていました。
検証をした『テープレコーダー』の噂……
「お邪魔しま~す」
「この家ボロいですね~」
「ここには何も無いんですねぇ、用も済んだし帰りま~す」
「お邪魔しました~」
失敗です。
友人の声しか入っていませんでした。
しかし、ムービーには写っていたのです。
携帯のライトが懐中電灯の代わりとなり、その光の中を行き交う無数の影が……
その廃屋は去年取り壊され駐車場になってしまいました
怖く無くてすみません
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話