私の田舎町での話。
私の田舎は東北の人口一万人にも満たない小さな町です。
その町には町内放送があり、『こどもは早く家に帰りましょう』やら、『農薬の空中散布を開始します』やら、スピーカーから聞こえてきます。
ある日、深夜11時ころに、ふいにピ〜ンポ〜ンパ〜ンポ〜ンという無機質な機械音がこだまして、耳をすますと、『丘の上の老人養護施設から、○○さんが行方不明です』という放送が流れた。
実家は丁度その丘の麓だったので、『ちょっと不気味だな』と感じながら、カーテンを開けて暗やみを覗いてみると、両手を広げ、老婆が窓にぴたりと張りついていました。
私は驚きのあまり、後ろに3m吹っ飛びましたが、その痴呆の様子の老婆は、何だか私に助けを求めているようにも見えました。
施設で何かあって逃げ出したのでしょうか?
生身の人間も、怖いものですね……
怖い話投稿:ホラーテラー 佐高☆将棋班さん
作者怖話