私が、このサイトを訪れるようになった理由、それに関わる様々なことを長々とお話しさせて頂きたいと思います。
かなり真剣ですので、私が嫌いな方は、どうぞスルーして下さい。
「お願いします、お金はいくらでも出しますから、僕を助けて下さい。」
それは、中学生ほどの少年からの電話でした。
声は震えていて、今にも泣き出しそうです。
しかし詳しいことが解らないうちは、安易に引き受けられません。
私が詳しいことを尋ねると、彼は僅かに聞き取れるほどの小さな声で言いました。
「くねくねが、……僕、見ちゃったんだ。連れてかれるんだ。死ぬんだ……白いくねくねが……」
大体こういうことを言っていたと思います。
私は意味が分からず、
(いたずらかな?)
とも思ったのですが、彼はしゃくりあげながら名前と住所、電話番号を言い、できるだけ早く会って欲しいと言います。
その住所が案外に近いところだったので、私は歩いて彼の自宅を訪ねました。
ベルを押すと、インターホンに繋がったので、
「先ほどお電話を頂いたAですが……」
と、突然ドアが押し開けられ、私は玄関に引っ張り込まれました。
「ありがとう、ありがとう、」
少年は泣いていました。
それから、私は居間に通され、彼の携帯で、その『くねくね』なるもののお話と、写真(どう見てもまがい物)を見せられました。
彼の表情は、真剣そのものでした。
「つまり、これを見たから、あなたは連れていかれるの?」
「そう書いてあるだろ?」
「ええ、まあ……」
でもこれ、大体は『田の神さま』のことよね?
何も起こらないのだから、私の出る幕は無し。
帰ろうと立ち上がると、彼は怒ったように私の手首を掴んで、無理矢理引っ張っていきます。
たくさんのお話や、写真のように、私はたんぼの真ん中まで連れていかれました。
彼の足はぴたりと止まり、
「ほら…、」
指差した先には、やはり力を無くしてさまよう田の神さまが、ふらふらとその体を揺すって歩いていました。
彼が怯えるその光景は、私には痛々しいものに見え、それ以上見続けることは不可能でした。
私はそっと彼の袖を引き、一番近いカフェに入りました。
「あなたに聞く気があるなら、」
私は田の神さまの話をしました。
休田が続き、農家の方に御祀りしてもらえなくなった田の神さま。
いずれ全く消えてなくなる、その悲しい末路……
彼は納得してくれました。
その後、なぜか意気投合し、ゆっくりお茶を楽しみました。
と、彼の話はここで終わります。
あのくねくねは、もともとはそのほとんどが田の神さまの成れの果てでした。
ですが、最近では都市部でもよく見られます。
それらは田の神さまではないものの成れの果てであることが多く、気性も荒いので、害をなすことが多くあります。
でも……
当然でしょう?
誰も御祀りしてくれなければ、神さまは薄くなっていってしまう。
私たちとは違って、すっかり消えてしまう。
長い時間をかけてじわじわと自分の消えていく恐怖。
神さまだって恐れるし、苦しくなるのです。
だから、良いことを私たちに分けて信仰してもらいたいと思うし、荒魂だって落ち着こうかなと思う。
はっきり言ってしまうと私も無宗教者なので、強くは言えませんが、単純にしっぺ返しを食らっているだけ。
またまた話はとびますが、私が小さい頃、よく見ていた白いふわふわしたもの。
それが、神様だと教えてもらうまで解らなかった。
感覚としては、思いやって接すれば、あちらもそうしてくれるけど、乱暴にすると、怒ってしまう。
なんだ、人と同じじゃない。
だから以外と身近な所に神様はいるし、だからってどうこうするものでもない。
人が人として礼儀を弁えて、感謝や愛情を持って生きていれば何のこともない。
切れてしまったので、続きます。
怖い話投稿:ホラーテラー あおもりんごさん
作者怖話