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短編2
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手鏡

誕生日に妹から手鏡を貰った。

黒くて裏に和柄の赤い牡丹が描かれた私好みの手鏡だった。

妹は生まれつき耳が聞こえづらく、まともに喋れなかったが、一生懸命に私におめでとう、と言ってくれた。

私は妹が可愛くて可愛くてしょうがないようなシスコンだったから当然の如く妹を抱きしめありがとう、ありがとう、と妹にお礼を言った。

手鏡をベッドサイドの棚の上に置き、私は眠りについた。

私は夢を見た妹の夢だった。

妹が私に近づいてくる。私はぼーっと立っていた。

妹が私の目の前に来て私を見上げた。

じっと。無表情に。

妹は普段はそんな顔をしないから、私はすごく戸惑ってどうしたの?と聞こうとした。

けど声が出ない。そして気づいた。体が動かない。

妹が覚束ない声で何かを言った。

私は耳をすました。

「…耳を…ちょうだい。ぉねぇちゃあ…あ…み」

あー…やっぱりちゃんと聞きたいよね…耳、欲しいよね…って私はすごく悲しくなった。

ふと妹が手を伸ばし私の耳を掴んだ。

激痛が走って私は叫びそうになった。

けど悲しい気持ちもあって叫んだら駄目だ、と必死に堪えた。

目が熱くなって、耳が痛くて―――――。

気がつくと朝になってた。

少したって妹の聴力が回復してきたとの朗報に母も父も私も喜んだ。

それとは反対に私は方耳が全く聞こえなくなった。

最近もう片方の耳も少し聞きづらくなってきたような気がする。

もしかしたらもうすぐ両耳が聞こえなくなるかもしれない。それでも私は妹の耳が聞こえるようになるならいいと思っている。

最後になぜタイトルが手鏡かというと、朝起きた時鏡を見ると鏡に亀裂が入っており、その鏡にだけ耳から血が出ていたのが見えたからです。

手鏡はせっかく妹がくれたので今も大切に机の引き出しに入っています。

作り話のような本当の話でした。あんまり怖くないけど読んでくれた方ありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー シスコン22さん  

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