中編4
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道路工事のお話

※このお話では、人間の怖い話です。あまり怖くないのですが…

僕が警備員のアルバイトをしていた時の出来事です。

今回は、ベテランさんと二人で道路工事の警備です。

ベテランさんを警備会社で拾い、二人で現場に行きました。(ベテランさんは車無し)

街中からかなり離れた場所での工事です。

もはや都会の面影はなく、半径数キロに建物はありません。道路の先には大きな墓地があるだけです。

着工から終了まで一ヶ月の現場でした。

工事内容は、道路の舗装(アスファルト)を剥がし、下の土を新しいモノに入れ替えて、再度、舗装する…

僕(…こんな所の道路に…税金の無駄遣いだ)

…しかし、初めて見る工事だったので、興味津々で見てました。

矢印板とカラーコーンと工事中の看板で、道路を囲いスタートです。

まずはカッター屋さんが来ます。2トントラックで大きな水槽を積んでいます。

回転ノコギリで、慣れた手つきで舗装に切り目を入れていきます。同時に水をノコギリにかけ、熱でダメにならないようにしていました。

次にショベルカーで、切れ込みの入った場所からどんどん舗装を剥がしていきます。

剥がれていった場所から、他のショベルカーで掘り起こし、ダンプに載せます。

掘り起こした古い土やジャリは「残土」と呼ばれ、専用の処理業者までダンプが運びます。

…どうやら、20年以上も前の道路らしく、工事は見ていても飽きませんでした。

道路の下は

舗装(アスファルト)

砕石(ジャリ)

土(新しい土)

と層になっていました。

…この砕石を新しい黒いモノを使う事で、地盤沈下しにくくより頑丈な道路になるんだとか

僕(後、五年は大丈夫だと思うけど…)

現場の作業員さんは全員、日雇いです。

この工事会社は小さいところで

社長…現場監督

専務…ショベルカー

常務…ショベルカー

部長や課長や平社員はいません。

朝の9時から夕方5時まで作業は続きます。

仕事が終わり、帰りの車の中でベテランさんと話しました。

ベテラン「新人くんさぁ、俺達の仕事は、外から人や車が工事現場に入ってくるのを防ぐ警備なんだから、あまり工事ばかり見てちゃダメだよ!」

僕「すいません!珍しかったので…」

警備会社に到着すると、部長が待っていました。

部長「あ〜…お二人さん。悪いんだけど、明日同じ現場で夜9時から0時までやってくれないかな?」

ベテラン「…すいません、夜はちょっと…」

僕「夜ですか、まぁ短いんで良いですよ」

…結局、僕一人で翌日の警備につきました。

現場に着きました。

辺りはとても静かで、車一つ通りません。

工事会社の社長と専務と常務が居ました…

僕「あれ?作業員さんは来てないんですか?」

社長「うん?あぁ…今日は俺達三人でやるから…」

…変だな

と、違和感を覚えつつ

工事の用意をしました。

奇妙な緊張感が現場を包みます…

僕(今日は何やるんだろ…)

僕は現場の作業をチラチラ見ていました…

…ショベルカー2台で残土を掘り返しているだけでした…

脳裏にベテランさんの言葉が過ぎったその時…

…?

…!?

ショベルカーが…

掘り出した爪から…

服を着た人骨が!!!

その瞬間!!

ショベルカーを運転している専務と目が合いました!

心臓が太鼓のように鼓動を鳴らしました!

僕はすぐに振り向き、見てないフリをしました…

僕(ヤバイヤバイヤバイ!)

工事現場に背を向け、外を見ていたフリをする僕は、バレていないか、背中に全神経を集中し、聞き耳を立てていました…

…ブロロロ

2台のショベルカーのエンジン音がします。

…キュンキュンキュン…

…!!

エンジン音が止まりました。

後ろで話し声が聞こえます…

そして…

ザッザッザッ…

コチラに足音が近づいて来ます!!

僕(ヤバイ!バレた!)

絶体絶命かと思ったその時!

正面から車が近いて来ました!

僕(助けを求めよう!!)

と、思ったその時…

社長が肩を叩きました!!

社長「あれ、うちのダンプだから…中に入れてあげてね」

僕「は…はい」

…見た事もない真っ黒のダンプでした。

ショベルカーがダンプに残土を積み、ダンプの運転手は社長からお金を受け取って、何処かへ走って行きました。

僕の心臓はずっと高鳴ったままでした。

…0時になりました。

社長「おーい、兄ちゃん!今日は終わりだ!片付けてくれ!」

…僕がカラーコーン等を片付けていると

専務「今日は時間、短くて商売にならんだろ?」

と、一万円を手渡しました。

社長「ごめんな〜、こんな夜遅くに仕事させて」

…僕はこの言葉にホッとしました。ほのぼのした雰囲気の中…

(さっきのは目の錯覚だったのかな?)

…と思った矢先です。

社長「飲みに行かないか?」

…?

僕「え?今からですか?」

専務「いい所連れて行ってやる」

僕「いや〜、お金無いんで」

社長「おごってやるよ」

僕「僕あまりお酒飲めないんで…」

常務「こらぁ!お前社長に恥かかすんかい!」

…再び戦慄が走りました。

三人の目が座っています…

僕「すいません!お先に失礼します!」

…走って車に乗り込み、発進させました。

三人の横を通り過ぎました。

…この時の三人が僕を睨む顔が、今だに忘れられません。

すぐに携帯で部長に連絡しました。

今日の出来事を全て話しました…

…部長の話です。

こういうのは良くある事。

○×興業とか×組など、少人数でやってる会社は特に

この会社が格安で国の仕事を受注して、今回の道路工事をしていた。

来年の選挙で民主党が政権をとると、今後いつ工事出来るか分からないので、今年に掘り返したんだろう。

最後に…

部長「お前、本当に飲みに行かなくて良かったな!」

怖い話投稿:ホラーテラー 店長番外編さん  

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