■シリーズ1 2 3
※季節外れのお話です。1話目は怖い要素があまり出てきませんのでご容赦を…
これは僕が店長を勤めていたカラオケ店の出来事です。
今年もやってきました!
夏の季節です!
サンサンと輝く太陽!!
店の制服も夏服になり、お客様も露出の多い服装になります!
夜から朝までの勤務をしている僕らにとっては…
朝5時の閉店後、外に出た時の明るさが嬉しいのです!
毎年、この時期になると1階のゲームコーナーにあるパチスロ機の売上が上がります。
2階へ続く階段のすぐ下に設置されているからでしょうか?
とにかく夏にはお祭りやコンサート、花火大会などイベント盛り沢山です。
僕達カラオケ店員も、この時期に限っては皆でイベントを強行します!
朝5時に仕事を終わらせ、近くの海水浴場に行き焼肉やキャンプ等を楽しみます。
これは5店舗あったチェーン店が協力し、お店まるごと違う店舗の従業員がまわすと言う方法を取りました。
このキャンプだけはケチな社長も全面協力(アウトドア大好き人間で)
テントも最高級のモノを貸して貰ってました。
今年は街中から車で3時間の大自然溢れる海水浴場を選びました。
参加者は男女混合25名!清掃担当の主婦以外はほとんど参加です。
いよいよキャンプ当日です。
車6台で目的地に出発!
ほとんど大人版の修学旅行でした。
途中で人気の港町に集まり、朝ごはんを食べました。
バイト「店長はあそこ行くの初めてですよね?」
僕「うん、そうだよ」
バイト「俺あそこ好きで良く行くんですよ!」
僕「モグモグ…じゃ詳しいんだ」
バイト「あそこには二つ、名所があるんですけど…一つが日本の綺麗な海百選に選ばれた○丹ブルーの入り江と、もう一つが○丹岬って怖い伝説がある観光名所です。」
僕「いいね〜!皆で多数決とろうか!」
…結果
場所の位置から順番に
綺麗な○入り江→
海水浴場でテント設置→
○岬で夜に肝試し
と、なりました。
…この時は、まさかあんな事になるとは夢にも思わなかったのです。
…途中、近年に大きな崩落事故があったトンネルを通ります。
出口付近に大きな慰霊碑がありました。
多数の若者が亡くなった事故を知っていた僕達は、
慰霊碑の前に車を停めて、全員で手をあわせました。
…その後、車を走らせる事2時間
ようやく目的地へ到着です!
○入り江は少し高い丘を車で登った所にありました。
丘と海の綺麗な境界線が、とても印象的でした。
…駐車場に着きました。
やはり観光シーズンです。ギラギラと照りつける太陽の下、○入り江には沢山の観光客が訪れていました。
駐車場にはハーレーの集団もいました。日本中を旅しているご老人達です。
バイト「かっけ〜!」
僕「いいな〜、お金持ちは…」
車を停めて、高級バイクの群れを横目に目的の入り江まで歩きます…
すると、
人間が一人、ぎりぎり通れる小さなトンネルが目の前に現れました。
…中は真っ暗闇です。お昼なのに、
トンネルの中は傾斜がある上にとても長い様で、出口が見えませんでした。
僕「…このトンネル怖いな…心霊スポットじゃないよね?」
バイト「違いますよ〜!ほら!見てください!」
…アルバイトの指さす方向には、中から出て来る普通のおばちゃんや子供、観光客の姿がありました。
その光景に、全員がホッとした様で、僕が先頭で中に一列で入りました。
中は天然の岩を逆U字型にくり抜いたトンネルで、涌き水が滴っています。
…不気味です。
…そこは面白い事が大好きなスタッフ達。
…ポン!
後ろのスタッフが僕の両肩に手を置きました。
若干、声をあげそうだった僕が振り返ると…
全員が前の人の肩に手を置いています。
…ぷっ!
僕「ムカデより芋虫の行進だよ!」
と思わず、ツッコミを入れました。
誰からともなく、全員が無言でこれを始めたのが、面白かったらしく…
僕のツッコミを皮切りに
トンネル内に皆の笑い声が反響しました。
…そんな事をしている内に出口に到着しました。
僕「おぉ!」
そこを見下ろすと、沖縄の海を連想させる様な素晴らしいエメラルドブルー!!
トンネルから次々と出て来たスタッフ達も歓声をあげます。
皆で記念撮影をし、帰りもトンネルの中を芋虫の行進で帰りました。
駐車場で車に乗ろうとした時です。
スタッフの一人の女の子が、暗い顔をしながら声をかけて来ました。
女の子「あのぉ…」
僕「どうしたの?」
女の子「私の肩にも誰か手を乗せてたんですけど…トンネルから出てみたら…私の後ろに誰もいなかったんです。」
…?
僕「えっ…」
…この出来事から、何かが少しずつ狂い始めました。
…続きます。
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怖い話投稿:ホラーテラー 店長さん
作者怖話