電車に乗ると俺は決まって寝てしまう。
その日も、目的地までちょいととおかったので、良い気持ちでウトウトしていたんだよ。
途中で不意に目がさめたときは目的地のちょっと手前のA駅だった。
まだもう少し時間があるから…とまどろみに身を任せ、再び眠りについた。
で、しばらくして目が覚めると、そこはまたA駅だった。
あれ?
結構時間が立ったと思ったけど、まだA駅から出発していなかったのか。
と、俺はA駅から電車が発車する振動の中再び眠りに落ちた。
…のだが、再び目が覚めると電車はA駅のホームに滑り込むところだった。
背筋が粟立つのを感じたが、俺は冷静だったと思う。
寝ている間にA駅に何度も到着すると言うのなら、寝なければ良い。
A駅から目的地まではほんの数駅、時間にしても10分弱程度だ。
その間寝ずに起きていれば、目的地で降りられるだろう。
…と思ったのだが、何故か急激な眠気に襲われて気がついたら眠ってしまっていた。
そして目が覚めたらまたA駅に…
永久に電車から降りられないような気がしたので結局A駅で降りてしまった。
後日この話しを友人にしたら
「環状線なんだから、別にあり得ない話でも無いだろう」
と一笑に付された。
たしかにあの日俺が乗った電車は環状線だった。
しかし、A駅で降りたときに時計を見たんだが…
何周もするほど時間経ってなかったんだわ。
あれは何だったんだろうな?
怖い話投稿:ホラーテラー アウトさん
作者怖話