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短編2
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熊沢家の怪①

これは地元民のごく一部のみが知る実話です。山梨県H市のある町の集落での出来事。

山々に囲まれ田園風景が広がる長閑な集落。そこで私は幼い頃からずっと暮らしてきました。他の集落とは山で隔離されており、地区人口も100人強程の小さな地区です。そんなこともあって近所みな仲が良いのです。

そんな長閑で平穏な集落をある時事件が襲いました。これは私が小学校6年程の時のことです。

近所に熊沢さんという一家がいました。父母、祖父母に姉弟という家族構成です。家族仲が良いと評判でした。

ある夜急にお隣さんから電話がありました。「熊沢さんちの○○さん(父)が行方不明になったの!急に発狂して。消防も召集かかってるさ!とにかく区民総出で捜すように伝えて」と。私の父は消防のはっぴを纏い、駆け足で真っ暗な道を走っていきました。家族もみな懐中電灯を携え、真っ暗な庭に出ました。

普段静まり返っている地区は、一夜にして大騒ぎになりました。道に出てみると、家という家から人々が集まってざわめいていました。事情がいまいち掴めていなかった私は母から詳しい話を聞きました。

「熊沢○○君のお父さんが急にいなくなったから捜すよ!」と。

消防が出動し、カンカンと鐘が闇に響きます。地区放送も流れ、区民はバタバタと走り捜し回っていました。

その時少し遠くの真っ暗な田圃道を何か黒い物体が走っていくのを誰かが発見しました。あれこそが行方不明の熊沢さんでした。しきりに意味不明の単語を叫びながら真っ暗な闇へと消えていきました。消防に連絡し、みんな懐中電灯を片手に熊沢さんを追いましたが、足が速くあっという間にまた行方不明になってしまいました。聞いた話ですが道には点々と血がついていたそうです。夜も更けはじめ、今日の捜索は断念しました。

翌日、早朝から消防が再び捜索を始めました。道に残った血痕が幸い消えずに残っており、それを頼りに探したそうです。すると集落のはずれにある山中の穴(農業用ゴミ捨て場として利用されていた)から遺体が発見されました。遺体には左手首がなかったそうです。多分あの血痕は何らかで手首を切り落とした際に滴り落ちたものでしょう。遺体は家族に引き取られました。

母から聞きましたが熊沢さんは精神病を患っており、何かの拍子で発狂してしまいに手を切って穴に落ちて亡くなったそうです。

この行方不明事件から熊沢一家に災いが次々に降りかかります。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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