※このお話は「呪われる」という表現が使われています。自己責任で読んで下さい。
人間の胎児は、母親のお腹にいた時の記憶を持っていると言われています。
胎児に聞かせると良いクラシックや胎教も、今では当たり前になっています。
現在、日本人の死因のトップはガンや脳卒中や心臓疾患ですが、あくまでも「人間」の話です。
近年でも年間30万人以上が中絶をしています。「人間」と認められなかった命…
そんな命のお話です…
ある日、真っ青な顔で女性スタッフ(19)が相談してきました。
その一部始終です…
彼女の妹はまだ女子高校生です。そして、妹の親友Aが妊娠した事から話が始まりました。
相手は合コンで知り合った大学生でした。
Aさんと大学生は付き合っていたそうです。
そして、妊娠した時期は付き合ってすぐだったのです。
…妊娠一ヶ月目。
Aさんは大好きな彼の赤ちゃんを産みたいと考えていました。
そして1番最初に彼に相談したそうです。
その時、彼が言った言葉はAさんを絶望の淵へと突き落としました。
「ふざけるな!どうせ俺の子じゃないだろ!」
…深い絶望の中、それでもAさんは一人でも産みたいと考え、妹に相談していました。
もちろん妹は反対していました。しかしAさんは「絶対に堕したくない!」と妹の意見を聞きませんでした。
Aさんに強い母性本能が芽生えていたのです。家族にも秘密で産もうとしていました。
…妊娠二ヶ月目。
外見上は変化を感じさせないAさんでしたが、激しいツワリと嘔吐に悩まされていました。
それが原因でAさんの家族に妊娠が発覚してします。
それからAさんの地獄が始まりました。
Aさんの両親は、発狂したかの様に彼女に罵声浴びせ、毎日責めたてました。
…妊娠二ヶ月半目。
頑として中絶の意志を見せないAさんに対して
とうとう両親が行動に出ました。
元彼の実家にAさんを連れていき、元彼やその両親と激しい罵りあいになりました。※聞くに耐えない内容だったので簡略します。
元彼の両親は…
「高校生のくせに身体を許す女は信じられない」
「DNA鑑定を持ってこい」
などの言葉を吐き捨てました。
その日の帰り…
両親はAさんを産婦人科に連れて行きました。
その時…Aさんは放心状態でした。彼女の幼い精神は、両家の罵りあいに耐えられなかったのです。
そして数日後…
やつれ果てたAさんがフラフラと女子高に姿を現しました。
妹は親友の身に何が起きたのか、すぐに悟ったそうです。
虚ろな瞳のAさんを抱きしめて、泣いたそうです。
妹「…辛かったね…辛かったよね…」
その温もりでAさんも正気を取り戻し、大声で泣きました。
…これが、正気のAさんの最後の姿になりました。
翌日からAさんは学校に姿を見せなくなりました。
先生からはAさんは体調を崩し、入院したと伝えられたそうです。
一ヶ月ほど経った頃です。
まだ登校して来ないAさんの噂が、女子校中に広まっていました。
「中絶したショックで自殺したのでは?」
※両親から高校には、レイプされたと説明してあります。
心配した妹は、その日の帰りAさんの家を訪ねました。
Aさんの母親も妹だけは信頼していた様で、躊躇いながらもAさんの部屋に通してくれました。
…妹は自分の目を疑いました。
そこには妊娠しているかの様に…
大きなお腹をしたAさんが居ました。
妹は恐る恐るAさんに尋ねました。
「わたしの赤ちゃんが戻ってきたんだぁ…」
そう答えたAさんは、完全に正気を失っていました。
妹がAさんを揺さ振りながら、しっかりしてよ!と声をかけましたが、反応はありません。
Aさんは嬉しそうに自分のお腹をさすっています。
…想像妊娠でした。
Aさんの両親は、あまりに大きくなった娘のお腹に異常を感じ、中絶手術をした産婦人科に連れて行きました。
そこで様々な検査を受けました。
医師「間違いなく妊娠ではありません。しかし、子宮の空洞が大きくなっています。ここの設備では原因がわかりません。このままだと危険ですので、大きな病院へ…」
Aさんは街で1番大きな総合病院に入院しました。
両親がAさんを抱えて、病院に入る所を、運悪く同じ病院に来ていた女子校の生徒が見ていました。
…翌日
大きなお腹をしたAさんの噂は学校中に広まっていました。
「胎児の呪い」の誕生です…
堕胎された赤ちゃんが、生まれたかった無念で、再び母親の胎内に戻った…この話を誰かに話さないと、Aさんと同じ目に遭う。
噂は不謹慎な内容でした。
この時、妹は言い知れぬ不吉さを感じていました。
それから毎日、妹はAさんの病院に見舞いに行きました。
Aさんはどんどん痩せ細り、逆にお腹は大きくなっていきました。
病院も今までに例が無い症状に、何も出来なかったそうです。
…Aさんの命の灯は、誰の目から見ても、明らかに小さくなっていきました。
しばらくして…
Aさん両親に、病院から子宮摘出手術が提案されました。
両親はかなり悩みましたが、娘が助かるなら…と
病院の提案を許可しました。
…子宮摘出手術の当日。
その日も妹は見舞いに行きましたが、Aさんの両親から手術の為、面会する事は出来ませんでした。
すぐに手術の結果を自分に連絡して貰える様に、Aさんの両親に頼み込み。
…妹は泣きながら病院を出ました。
あんなに赤ちゃんを産みたがっていたAさんの…
あまりに悲しい境遇に…
…妹は病院近くの公園のブランコに座り、結果の連絡を待っていました。
少しでも親友であるAさんの近くに居たかったのです。
…辺りは完全に日が沈み、夜になっていました。
…〇ちゃん。
俯いていた妹の耳に
自分を呼ぶAさんの声が聞こえました。
妹の目の前に「青白い足」が見えました。
…!
妹が顔をあげると…
そこには誰も居ません。
…〇ちゃん
後ろから聞こえる声に振り向きました。
そこにはAさんが立って居ました。
蒼白な顔…
真っ白な手術着からは…
青白い手足が露出されていました…
妹「A…ちゃん?」
A「この子を助けて…」
Aさんは目から血の涙を流しました。
…!
妹は腰を抜かし、地面にしゃがみ込みました。
…次の瞬間!
Aさんの下腹部から凄まじい勢いで血が流れ出ました。
…ぃゃ…嫌…
妹は恐怖のあまり、悲鳴をあげる事も出来ません。
その血は、辺りの地面をどんどん覆っていきます。
妹は、手についたその血を見て気を失いました。
ピリリリ…
携帯の着信音で、妹は目を覚ましました。
Aさんの両親からでした。
Aさんの手術は失敗に終わり、彼女は亡くなってしまったそうです。
…数日後
妹のお腹が大きくなっていました。
産婦人科の診断は…
「想像妊娠」でした。
怖い話投稿:ホラーテラー 店長さん
作者怖話