これは10年以上も前の話です。
ボロアパートで一人暮らしをしていた俺の家に、あるチラシが入っていた。
裏ビデオのチラシだ。
今はネットが普及し、手軽に無修正を見つける事が出来るのだが、
この時代ではビデオテープが主流でDVDさえなかった。
前に一度、注文してみたが、普通のAVをコピーした物だった。
業者にクレームの電話を入れたが、「コピーする時に修正を入れていない」とお約束の返答だったんだ。
しかし!男は何度でも冒険をするものだ!
騙しの嵐をくぐり抜け、禁断の財宝を手に入れる為に!
やや、アブノーマルな俺は今回のチラシに目を通した。
そこには、スナッフビデオの文字があった。
「ホラー映画のコピーかも知れないな…」
そう思いながらも、パチンコで手に入れたアブク銭を握りしめ、注文の電話をした。
「本物だったら、自慢出来るな」と思っていた。
ピンポ〜ン!
もう来たのか!と玄関のドアを開けた。
「ご注文のお品です」
…ずいぶん若い男が届けにきたな…これもやはり偽物か?
俺はドキドキしながら、ビデオテープをデッキに入れた。
…あ?なんだこりゃ…
そこには、テレビを見ている中年の男が写っている。
外から窓を覗き、撮影しているようだ。
そして、ビデオに写っている中年がテレビを見ていたかと思うと、次は大慌てで玄関の鍵を閉めたり、
カメラの方に向かって来て窓の鍵を閉めている様だ。
中年の顔がアップで写っている。
…おいおい、カメラに気づくだろ。普通は。
次の瞬間、中年の男は
見えない「何か」に髪の毛を引っ張られ、凄い力で外に引きずられて行った…
俺は慌てて、玄関の鍵を閉め、窓を確認した。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話