中編4
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終わらない恐怖 2

…「終わらない恐怖1」の続きです。

大きくなってきたお腹を隠しながら、妹は女子高に登校しました。

教室に入った彼女は、皆の異様な雰囲気を感じました。

妹「おはよう!」

…誰も彼女の挨拶に反応しませんでした。

1番最初に彼女を出迎えたものは無視でした。

…。

異様な雰囲気のまま、授業が始まりました。

何処からともなく周りから声が聞こえてきました。

…ヒソヒソ

…やだぁ怖い。

…クスクス

…来てんじゃねーよ。

静かな悪意が、彼女を蝕んでいきました…

妹「…うぅ」

…ボゴッ

…ボゴゴ

彼女の胎内で、「何か」激しく動いていました。

お昼休みの時間になりました。皆の悪意がそれたのでしょうか。

妹のお腹の不快感は、次第に治まっていきます。

そこにクラスのリーダー的な存在である、同級生三人が近づいて来ました。

「あんたさぁ、Aの親友だったよね」

「あんただけ呪いの話に参加してなかったよね」

「お葬式の時の話、聞いちゃったんだよね〜」

「ちょっとお腹、見せてよ」

同級生が妹の机を取り囲み、次々と問い詰めます。

彼女は俯き真っ青になりながら、ガタガタと震えて何も答えられませんでした。

…翌日。

妹は「噂は自分から逸れているかも知れない」という僅かな希望を胸に、女子高に通学しました。

最初に彼女が目にしたモノは、「お札」でした。

それは下駄箱を封印する様に貼ってありました。

同級生が嫌がらせで貼った物でした。

…ズクン!

下腹部に痛みが走り、彼女は座り込みました。

…ペタ!ペタ!

彼女の横を、何人かの同級生達が走り抜けました。

「キャハハハ!」

妹が痛みのあまり座り込んだ背後から、同じ「お札」を彼女の背中に貼って行ったのです。

…ズグン!ズグン!

心臓の鼓動にも似た痛みを抱えたまま…妹はフラフラと教室に向かいました。

そこには無惨にも落書きやカッター等で、文字を刻み付けられた彼女の椅子と机がありました。

…死ね…

…呪いがうつる…

…キモい…

…学校にくんな…

ズグン!ズクン!ズグン!

妹との下腹部が、急激に膨らんでいきました。

授業中も昨日と同じ様に、静かな悪意が胎内に入ってきます。

妹「…っ!」

…ムチ…ムチ

彼女は急激に膨らんでいく下腹部が、制服で圧迫される苦しみを噛み殺していました。

授業が終わり、妹はトイレに走りました。

それを見たリーダー組の三人が、彼女を追いかけて教室を出ます。

…妹が個室トイレに入っていると、外から声が聞こえました。

「お清めしてやるよ!」

「それ!」

…次の瞬間

妹の頭上から、大量の水が降り注ぎました。

「水子に水だ♪」

「水子に水だ♪」

妹は泣き叫びました。

妹「やめて!やめてよぉ!」

…ズックン!

そして彼女の絶望が臨界点に達した時…

浴びせられた水が、血の色に変わりました。

彼女はそこで気を失いました…

…目覚めた時、妹は自宅のベッドの上でした。

すぐ側で姉が看病していました。

彼女が気を失ってから、一日以上が経過していました。

姉「学校から聞いたよ!」

姉「このバカ!なんで私に言わなかっのよ!」

姉は泣きながら妹を抱きしめました。

妹は風邪をひき、高熱を出しています。

妹「…お姉ちゃん…ごめんなさい…」

その時です。

…ピンポーン

姉「誰だろう?は〜い!」

姉が玄関を開けると、

そこには妹をイジメていたリーダー組三人の一人が居ました。

姉は面識があった為、すぐにその子の髪の毛を掴み、怒りに任せて怒鳴りました。

姉「ふざけるな!ここに何しにきた!!」

その子「違います!違うんです!謝りに来たんです!」

姉「…はぁ!?」

その子は姉に掴まれた髪の毛にお構いなしで、家の中に入って行きました。

…ブチブチブチ!

姉の手に、その子の髪の毛が抜ける嫌な感触が走ります。

姉「ちょっと!あんた!待ちなさいよ!」

勝手に家の中に入って行ったその子を追いかけます。

…その子は妹に謝っていました。

しかし、何か様子がおかしいのです。

その子「ねぇ!許してよぉ!何でもするからぁ!お願い!許してえ!」

激しく妹を揺さ振り、泣き叫んでいます…

その子「ねぇ!あんたがやったんでしょ!お願い!助けてよぉ!」

その異常な光景を見た姉がすぐに制止しました。

姉「ちょっとあんた!やめなさいよ!」

姉が止めると、その子はその場でただ泣いているだけでした。

ひとまずその子を落ち着かせ、姉はゆっくりした口調で尋ねました。

姉「…何があったの?」

そう聞くと、その子は話し始めました。

…ここからはその子の話です。

…昨日の夜です。

夜中にふと目を覚ますと、死んだはずのAさんが、私を跨いで立って居たんです。

手術着みたいのを着てて、目からは血の涙を流していました。

私と目が合った瞬間

恐ろしい形相で叫び声をあげ、下腹部から大量の血を流したんです。

ちょうど私のお腹がある場所にボタボタと…

朝起きて、鏡を見ても後ろにAさんが居るんです!

…お願いします!

…助けて…下さい。

姉はあまりの話に呆然としていました。

…ピンポーン!

姉「…まさか」

自宅のドアを開けた姉の目に、信じられない光景が広がっていました…

姉「…なんなのよ…これ」

外には…

同じ制服を着た女子高生が…

自宅前の道路を埋め尽くしていました…

…続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー 店長さん  

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