短編2
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呪毒②

Aと彼女が小屋の中へ入って行くのを俺とBは黙って見ていた。

何もあるはずがない…何か起きるわけがない…

二人ともそんな風に考えていた…

しかし、そんな二人の予想を打ち消すように小屋の中から甲高い笑い声が聞こえてきた…

「ギャハハハハハアハハハハハアハア…」

俺とBは時が止まったように固まった…

Aが俺達を担いでいるのか?

そんな事を一瞬考えたが、それはないとすぐにわかった…

笑い声が普通じゃなかったからだ…

それに笑い声はAのものではなく、明らかに女の笑い声…Aの彼女のものだったからだ…

俺達は小屋にかけよった。

小屋の中ではAが呆然として立っていた。

そして、六畳ほどの部屋の真ん中では、Aの彼女が何かに座りながら…そして何かを覗き込みながら…狂ったように笑っていたのだった…

暗闇の中で、それが何であるか分かるまで時間がかかった。

そして、それが何か分かった時、俺は震えが止まらなくなった…

Aの彼女は、鏡台の前に座り、鏡台を覗きこんでいたのだ…

俺はAに言った。

「何なのこれ…?一体どうしたんだよ!!」

Aは立ったまま泣いている。

「泣いてちゃわかんねえよ!何があったか言えよ!」

するとAが口を開いた。

A「ここに…入ったら…真ん中に鏡台があったから…俺が…俺が見てこいって…言ったんだ…そしたら急に…急に笑い出して…」

Aの口は震えていた。そして、ズボンは小便で濡れていた…

かなりの恐怖だったのだろう。

そりゃそうだ…とにかく異様だった。

その間も、Aの彼女はずっと笑い続けている。

呼吸困難になるのではないか?と思うほどにけたたましい笑い声を上げていた…

俺はこのままではヤバいと感じ友達Bに言った。

「近くの寺に行こう!このままじゃ彼女死んじゃうよ…」

Bは頷いた。

B「とにかく彼女を鏡から離さないと!」

俺とBは彼女の両脇を持ち上げ、彼女を鏡から離そうとした。

その時、Aの彼女は笑うのをピタリと止め、恐ろしい声で叫んだ…

「呪毒をふりまいたのはどっちじゃああああ…」

そしてまた狂ったように笑い出した。

俺とBは必死に彼女を抱き抱え寺に向かった。

寺に向かう途中も彼女は笑い続けていた…

Aも俺達の後を、おろおろしながら着いてきた。

文字オーバー

続きます…

怖い話投稿:ホラーテラー ビー玉さん  

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