僕が中学生の頃の話。
クラスで隣の席の女の子が、筆圧が強いらしく、よくシャーペンの芯を折っていました。
ある日の授業中、いつもの様に隣から
「パキッ」
と言う音が聞こえてきます。何度も。
その音を聞きながら、授業も終わりに近付いてきた時、隣から「ズボッ」
と言う音が聞こえました。
僕がその子の方を見ると、その子は驚いた表情で、ノートを取る手を止めていました。
そのノートを見ると、「穴」があいていました。
その「穴」があいたノートは、完全に広げられ、ピッタリと机の上に置いてありました。
つまり──
あくはずのない「穴」なのです。
僕はその「穴」の中を覗きました。
ノートのページは、穴があくと普通なら次のページが見えますが、その「穴」から見えたのは、真っ黒などこまでも続くような闇でした。
その子は確かめる様にページをめくりました。
しかし、表にあいた「穴」は、裏には繋がっていませんでした。
その子は驚いた表情のまま僕の方を見ました。
そして、その「穴」のあいたページを破り、クシャクシャに丸めました。
その子は泣きそうな表情で僕を見つめました。
あの「穴」は、一体何処に繋がっていたのでしょうか。いまだに彼女のあの表情が忘れられません。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話