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短編2
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呪毒④

住職はゆっくりと話出した。

「あの小屋はな、昔に女を大勢閉じ込めてた小屋なんだ…

普通の女じゃないぞ、呪いにかかった女をだ…

この村にな、昔、酷い病気が流行ったんだ。

その病気になるとな、鼻が腐り、頬が腐り、最後には気が狂って死んでしまう恐ろしい病気だ。

今では梅毒と言うのだが、昔のこの村の者は呪いの病気【呪毒】と呼んだんだ…

女の鼻が腐りはじめると、男達はみんなであの小屋へ女を閉じ込めた。

みんな呪いが怖かったんだ…

すべてを女のせいにして、男達は呪いの恐怖から逃れようとしたんだな…

鏡台が一つあるだけの部屋で十数人の女達があの小屋で死と戦っていたんだ…

そして悪い事は続くもんでな…

同じ時期に、この辺りは大飢饉にみまわれたんだ…

自分達の飢えを凌ぐためにこの村の者は、あの小屋に食料を届けるのをやめたのだよ…

小屋の中でガリガリに痩せた姿を鏡台で見ながら女達は、自分の不幸を笑うしかなかったんだろう…」

住職の話を聞いている内に俺は涙を流していた。

小屋の中の女達の無念さ…悔しさ…それを考えると本当に悲しかった。

そして住職は友達Aを指差し言った。

「話によると、お前が彼女を連れて行ったそうだな…カギは開いていたのか?」

Aは震えながら答えた。

「はい…開いてました…」

住職は目を閉じながら言った。

「そうか…残念だがA君とやら…君にも呪いがふりかかっているかもしれんなあ…」

住職はそう言うと電話を取りだし、救急車を手配してくれた。

「ワシにできるのはここまでだ…呪いってもんは体に吸い込まれたらどうにもならんのだよ…」

俺達はみんな一緒に救急車に乗り、彼女の付き添いをした。

病院に着いて次の日、彼女の意識は戻った。

だが呪いは確実に体を蝕んでいた…

この事があってから6ヶ月後、彼女は子宮に腫瘍が見つかり、子宮摘出手術を受けた…

本当に子供が生めない体になってしまったのだ…

友達Aは、男性器が機能しない病気(EDと言うのだろうか?)になってしまい昔の強気な性格は見る影もなくなってしまった…

二人は地元で一緒に暮らしている。

俺も友達Bもたまに二人に会いに行く。

二人とも俺達の事を恨んでいるとかそんな素振りは見せない。

ただ二人に共通するものが一つある。

それは

あの日以来、二人は一回も笑ってない事だ…

怖い話投稿:ホラーテラー ビー玉さん  

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