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短編2
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地獄虫3

変だ。母が料理をしだして、既に3時間は経っている

それにこんな深夜に何を作ってるのさ

「ちょっと夜風にあたりに。ほら、今日は熱帯夜じゃない?」

私は必死に本心を隠して、そう呟いた

あの台所の母が私の知っている母にはどうしても思えない

無論、上にいる父もだ

これが地獄虫とやらの仕業なのか?考えたくもない

私が扉に手をかける

だが、何故か扉が開かない

「開くわけないじゃない」

母が呟く。何その台詞

「なんで?」

私が質問する

その時、母が作っている鍋がちらっと見えた

え…?

その時私は自分の目を疑った

母が煮ている鍋から人間の首が出ている

その首は確かに母の首だ

じゃあその首を煮ているのは誰?

私はあまりの恐怖に声が出せなかった

人間は真の恐怖に出会うとかたまるって本当なんだ

その母の首を煮ている人間の顔は闇に紛れ見えない

私は必死に扉を開けようとした

でも開かない

その時である

ギシギシギシギシ

二階から駆け下りる足音が聞こえる

父?おばあちゃん?

どちらにしても怖い!

人間の足音じゃないよ!あんなに早く人間は足音を連続出来ないよ

ギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシ

分からない?降りてきてる?来ていない?

私に分かるのはその生き物が凄い速度で家中を這い回っている事だけ

そして私はそこで気を失った

どれくらい眠っただろうか?

私は二階の祖母の布団の上にいた

「大丈夫かい?綾香?」

祖母の優しい声に泣きそうになった

「おばあちゃん私!」

それから私は祖母にさっき見た事を話した

すると祖母はそれは全て地獄虫が見せた幻覚だと教えてくれた

祖母の話によると私は一階の玄関で倒れていて、母は台所で倒れていて父は二階で寝ているのだという

全部幻覚?本当に?

私の頭は混乱していた

あんなにリアリティのある幻覚がこの世にあるの?

ここで私は地獄虫の事を祖母に問いただした

なんでこんな時期私達家族を呼んだのか

父や母はあの地獄虫について知っていれのかと

すると祖母は話してくれた

今回、私達がこの家に来たのは地獄虫を追い出す為なんだという

地獄虫は祖母の家に住み着いた妖怪で祖母も手を焼いていた

だが地獄虫がやることは変な幻覚を見せるだけで、人間に危害を加えることは無いらしいのだ

そして地獄虫は人間が増えると怖がって逃げていくものなんだと祖母は話してくれた

「じゃあ、私が見た人間を煮込んだ鍋も飛び降りた父も全て幻覚?」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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