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中編3
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トンネル

初投稿です。

文章読みづらかったらすいません。

 私は、鉄道のメンテナンスを生業としているものです。

 その仕事の特性上、夜間の作業が多く、尚且つ、いわくつきの場所等でもよく作業をします。

 私自身はさほど霊感があるとも思いませんが、仕事上、不思議な体験をいくつかしてきました。

 今回は、そのうちの一つを投稿させていただきます。

 Y線Sトンネル。

 ここは、トンネル直上の保守用地に慰霊碑があり、業界では有名なスポットです。

 その日、私達は工事指揮者のSさん、線路閉鎖責任者のKさん、作業員として私を含めた6名の計8名でSトンネルへ向かいました。

 件の保守用地に車を止め、ミーティングを行い、通過する列車が無くなった後に、列車が当該箇所へ侵入出来なくなる措置(線路閉鎖)を取り、保守用地から100メートルほど歩き、折り返してトンネルに入って行きました。

 作業は順調に進み、時間は2時に差し掛かる頃だったと思います。

 突然、作業に使っていた機器が不調となり、Sさんから予備の機器を取りに行くように指示を受けました。

 トンネルの入口まではおよそ1キロ。

 そこを一人で歩く事になり、私は少し嫌な気分でした。

 もちろん、この距離をなんで俺一人が…と言う気持ちもありましたが、それよりも何だか気味が悪い。

 と、言うのが本音でした。

 しかし時間も無く、四の五の言う事も出来ない為に急ぎ足で車に向かったのです。

 歩き始めてしばらくした頃、異変に気づきました。

 足音がダブるのです。

 カツッカツッカツッカツッ

と普段なら安全靴が足音を発する所、その時は

カツツッカツツッカツツッカツツッ

と、もう一人私と同じ歩調で歩く音が聞こえるのです。

 気になりますよね?気になるんですよ実際。

 で、振り返ったんです。

 ま、何もいませんよ。

 当たり前ですよね。私しかいる筈が無いんですから。

 で、まぁ気味が悪いし急ぎ足はさらに早くなって、出口まで後100メートルってとこで、足音が気にならなくなったんです。

 そのまま車に戻り、機器を取り、またトンネルに入って行くんですが、入って100メートル。

 また足音がするんですよ。

 カツツッカツツッカツツッカツツッって。

 もうホント気味が悪くて、早く皆と合流したくて、急ぎに急ぎました。

 しばらくして皆が見えてきて、後少しで合流。って所で、あまりに急いでいたせいか、下をろくに見ないでいたら、躓いてしまったんです。

 その時ですよ。

 ドタッドタタッ!

 カツッカツツッ

って躓く音に足音が被ったんです。

 恐怖感はマックスを迎え、そこからは皆を目指して走りました。

 で、無事合流した後、Sさんに言われたんです。

「お前の他に誰かいた?今日は他には作業無い筈なんだけどなぁ…」

「え?」

「いや、こっちに来るお前の後ろに何人か見えたんだけど、打ち合わせしてないし、違反してる奴らがいるんじゃないかって。」

 で、さらに怖くなって黙っている所へ、Kさんが

「黙ってようと思ったけど、アイツら、作業員の格好してなかった。それに、人じゃない。」

 ってガクガク震えながら言うんです。

「お前、躓いたろ?あの時、下から手が見えた。あんなの生きてる人間じゃない。」

 

 もう皆、作業どころじゃなくなり、撤収しよう!ってなり、びくびくしながらトンネルの出口へ向かったんです。

 途中、私が躓いた辺りに差し掛かり、ふと気付いたんですが…何も足に引っ掛かる物が無かったんです。

 私は何に躓いたんでしょうか?

 しばらくして、私は転勤となり、以来あのトンネルには行っていません。

 しかし、あのトンネルは今も毎日列車が走っています。

 恨めしい目をして、車内を見ているかもしれない。

 付け入る隙を狙っているかもしれない。

 そして当時の仲間を始め、鉄道従事員達は、今もあのトンネルを保守している…

 彼等やお客様に被害が無い事を祈っている。

怖い話投稿:ホラーテラー 鉄道員さん  

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