「おれさ、すごい能力もってんだよね。」
「急になんだよ。」
「あのさ、俺、殺したいと思った奴のこと考えながら寝ると、ホントにそいつ殺しちゃうんだよ。」
「嘘つけ。」
「嘘なもんか。だって・・・昨日俺たち喧嘩しただろ。そのとき俺・・・。」
「まさかてめぇ。」
「ホントにごめん。でも、何かしらねーけど、お前は軽傷だけですんだからよかったじゃねーか。俺が思いとどまらなきゃ、今頃大変な事になってたぜ。」
そんな事あるわけない。昨日の夜、あいつが襲い掛かってきたときに持っていた包丁を僕の超能力でふき飛ばさなければ、今頃僕は死んでた筈だ。君のおかげじゃない。僕が自分自身で守ったんだ!
「はいはい喧嘩はそこまで。ご飯持ってきたから早く食べなさい。」
「はーい。」
精神病院とか言うこの施設だって、いずれ僕の超能力で吹き飛ばしてやる。こんな所に居たら、本当に気が狂ってしまいそうだ。その前に・・・。
そのとき誰かの叫び声がした。
そうだ、あのとき、僕が超能力で吹き飛ばした包丁は、ちょうどやってきた男の人に刺さってしまったんだった・・・。
あとで僕の超能力で生き返らせてあげないと。
ふとアイツの方を見やると、いつの間にか居なくなっていた。それどころか、寝ていたベッドも、食べていたご飯もない。
ま、いっか。いつもの事だし。また僕と戦いたくなったら戻ってくるだろ。それまで・・・。
練習しておかなくちゃ。
僕は置いてあったフォークを手に取り、ゆっくりとドアの方に歩き出した・・・。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話