ある夏。
友達と深夜遅くまで飲んだ帰り道。一人だった。
高架下の小さなトンネルを歩いていると夏なのに全身長袖真っ黒な服を着た男が右腕を首に巻いてあちらから歩いてきた。明らかに腕の長さは異常に長かった。
左腕も長く脱臼したようにプラプラさせて地面に左手を引きずるように歩いている。
顔はヤスリで削られたように顔に凹凸がなく目がない。鼻の穴と口だけが、ぽっかり開いているような感じだ。
明らかに人間でないことは確かだった。
昔から、こうゆうのには慣れっこなのだが異様すぎる光景に酒を飲んでたこともあり吐き気がした。
そいつは、どこか遠くを見ながらこちらへ歩いてくる。目を合わさないように歩いていたが、ふと立ち止まったかと思うと
『カアサンイタイ、カアサンイタイ、カアサンイタイ』
と繰り返し地面にむかって喋りだした。
そこに母がそこに眠っているかのように地面にむかい『カアサンイタイ』と連呼していた。
トンネルの真ん中辺りで、そいつとすれ違うときに俺は目を合わさないようにわざと右の壁を見ながら歩いたのだが、ふと前を見ると奴が長い手を僕の肩にかけて、
『カアサンイタイ、カアサンイタイ、カアサンイタイ、カアサンイタイ』
と俺の耳元で連呼してきた。
『やめろ!』と、肩にかけた腕に重さは感じなかったが、振り払おうと蜂に襲われた人のように必死で薙ぎ払う感じで自分の腕をグルグルと回した。
そいつは消えていた。
まじで怖かったす!
怖い話投稿:ホラーテラー 福岡県民さん
作者怖話