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中編3
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5回目は…

このサイトに『不死身』という話がありましたので、少し長いのですが私もひとつ…

これは体験した私自身、いまだに信じがたい出来事なので、聞く方はなおさら信じ難いと思われますが…。

小学4年の時、私は初めて死にかけた。原因不明の呼吸困難で意識不明。すぐさまICUに運ばれ五日間。その時、私はベッドの上に意識が飛び、自分を見下ろしてました。(今思うとコレが多分、幽体離脱???)暫くすると医師やらナースやらどんどん病室に来て私に何かしていた。訳が解らぬまま、気付いた時には見た事ない場所に。

…回りにはうっすらと霞みがかかった山々。遠く下の方には大きな川。色は画面の全体的に虹色のグラデーション。素晴らしくキレイだった。何故か川に向かって歩き出したとき、私は目覚めた。意識が戻ったらしい。

それから今までで3回、17、24、29と、貰い事故やら手術中の出血性ショックやらで、そのたびに小学生の時に体験したキレイな光景を見てた。(幽体離脱らしき体験はなかったが…。) 相変わらずキレイな景色。ただひとつ変わってたことと言えば、毎回、だんだんと川に近付いてってること。しかし2回目に死にかけたときには、『きっとあれが三途の川???』と思い始めていた。 なので3回目に倒れて、2㌔先に川を見た時には本気で死を覚悟した。『まぁ、2回も生き延びたんだから、もういいか…』なんて呑気に川に向かい出した。ところがその途中で情けなくも転び、意識が回復してまた元の世界へ。(目覚めた時、少しおかしくなって笑えた)

そして4回目は今年の春。流産の処置の際、出血が止まらず遠退く意識。 4回目ともなるとさすがに最後だと思い、慣れたもので意識が薄れる中、旦那には飼ってた犬の事を頼み、今まで恥ずかしくて言えなかった愛の告白や旦那のヘソクリで遊びまくったことまで告白した。

…また見慣れた光景。川はすぐ目の前。歩き出したとき、向こう岸に見たことがある人物が降臨。私が中学1年の時に21で死んだ兄だった…。『また来たか。五回目はもう、何もしてやれないと思うから元気で暮らせよ』と、兄は青い顔で微笑んでいました。

…私は回復した。旦那が半ベソ掻きながら手を握ってた。四日間眠ってたらしい。(少し不謹慎だが笑えちゃう話、旦那のご両親は私が死んじゃう…と、旦那を連れて祈祷師に祈りに行ってくれたらしい。)

旦那は目覚めた私に『俺のヘソクリで遊んだの? 利子高いよ』と、泣き笑いしてた。

ただ、私が寝てた四日間、不思議な事が一つ。愛犬が日中はどこかへ姿を消し、夜にはちゃんと帰って来てたらしい。

後日談ですが、退院後に旦那と愛犬を連れて流産した水子の供養と、兄に逢いにお寺へ。そこで住職さんが来て、犬を見て微笑んだ。

『貴方のワンちゃんでしたか。この間までこのワンちゃん、3、4日程ここの前でお座りしてじっとお墓を見つめて、夕方にはいなくなっててたんですよ…』 感激した。いつもイタズラっ子のコイツに感謝した。勿論、一度もお墓に連れて来た覚えは全くなかったので、何故、兄の墓が判ったのか不思議だった。それに家からお寺までは3㌔。コイツはミニのダックスフントだからよく体力があったものだ。だが、そんな事よりも健気なコイツに感謝した。ワンランクUpの食事を誓った。シーザーだ。さすがに食いつきが違う。今は相変わらずのイタズラっ子に戻ったが、以前にも増して可愛くて仕方ない。

もう、子供は望めないとのことだが、末永く家族3人仲良く暮らしたい。兄にも感謝。

長文でしたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 腹ヶ 痛ぃ造さん  

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