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双子の兄 匂いと臭い 6

中編5
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双子の兄 匂いと臭い 6

ここまで読んでくれている人が果たして何人いるのか正直不安だけど・・・(笑)そして多分殆んどの人が創作だと思っているだろうけど、俺の書いている事は決して創作ではない。

俺は俺なりに兄の思いを正確に伝えようと四苦八苦してるんだ、これでも。

中高時代、俺は兄と全くと言っていい程会話が無かった。

ただひたすら甲子園を目指していたからな。選手としては2流だったけど(あえて3流と言わないのは一応レギュラーだったから♪)

だからオカルトに興味はあっても毎日へとへとでそれどころじゃなかったんだ。

だけどこの年齢になって何故か俄然興味が湧きだした。

だから、今書いている話は殆んど最近、兄から聞いたものなんだ。

兄は成績優秀で大学に進学したけど(家から通えるように地元の大学)、俺の方はというと、高校の先輩のつてで、場末のカクテルスナックをまかされている。

けど、この不景気で客なんか来やしない。まじ、やばい(笑)

て事で暇つぶしにPCを店に持ち込んでこれを書いているんだが・・・・書き慣れてないからなかなか話が進まない。昼間に書けばいいんだろうが、酒でも飲まなきゃ書けないわ、恥ずかしくて・・・

支離滅裂になったり、誤字脱字が頻繁に目につくようになった時は、こいつかなり酒が回ってんなあ、て事で許して下さい。

妹の名前をもろに出した時もかなり酔ってたしな(汗)

では、前回の続き

「あの時兄貴、確か成仏させたって喜んでたよな」

「・・・・・まだ、ガキだったからな。な~んも分かっちゃいなかった」

「しかし、地獄て・・・ちょっと不味いんじゃないのか?」

「まあ、地獄ってのもいろいろあってな。あの時、何年ぶりかで意識を取り戻した父親が何を見たのか、もちろん分らないけど、たぶん、車の中だったんじゃないかと思うんだ」

「車の中?」

「目が覚めたら車の中だって普通思うだろ?ドライブしてたんだし」

・・・・・・・

「霊が目にするものって現実じゃないものが殆んどなんだ」

(へ~)

「もちろん、俺が見えたのかもしれん。分らないな聞いてみないと。でも、どっちにしても寝る前とではかなり違ってた筈なんだ」

・・・・・・・

「そこにいきなり、窒息する程のファブ○ーズの匂いだ。まあ、パニックだわ、普通」

(普通って・・・・)

「父親が行ったのはたぶん芳香剤地獄だな。かなり苦しむだろう、思っている以上にな」

(あのね・・・・)

「霊の世界って、時間の感覚がまるで違うんだ。もう、呆れるほど・・・あの父親も、下手すりゃ10年くらいは苦しむかも」

「10年!?」

「○○町にある中古マンション、あそこ、昔から飛び降り自殺が多いらしいんだけど」

「意外と自縛霊って感じのもの少ないんだ。まあ、成仏したのか、地獄に真っ逆さまなのか、俺には分らないし何とも言えないんだけど・・・・」

・・・・・・・

「その中に」

「もう何年も飛び降りを繰り返している男がいるんだ」

・・・・・・・

「飽きるだろ、普通。何度も何度も飛び降りて」

・・・・・・・

「第一、いい加減気付くだろ、死ねないってことに」

「確かに」

「霊たちの時間って霊自身が決めるんだ。思いが全ての世界だからな」

「その、何度も飛び降りてる霊、下から屋上へ上がって飛び降りるまでが、行動の全てなんだ」

??

「もちろん、それまでにはいろいろあった筈、心の葛藤もあったろう。でも、忘れてるんだ、そんな事」

・・・・・・・

「死ぬ事しか考えていない。言い換えれば、死ぬ事以外はどうでもいいんだ。まあ、それくらい切羽詰まってないと普通は実行に移せないんだろうけど」

・・・・・・・

「屋上から飛ぶ、当然落ちて地面に激突する。実際飛び降りた時のように一旦意識を失うんだが」

「意識が戻った時には、前に飛んだことなんか覚えちゃいない」

!!

「飛んで、起き上がり、また飛んで、の繰り返し・・・・たぶん」

(たぶん?)

「あの男は永遠に飛び続ける。そして、本人は一回しか飛び降りていないと思ってる。(何で死ねないんだ!)と気付くようなら止めるよいい加減」

・・・・・・・

「人間にとっては百年でも、彼にとっては一日、いや、三十分やそこらでしかないんだ」

!!!

「俺に取りついた女も、丁度そんな感じだった」

「飛び込み自殺したっていう?」

「あれには参った!今生きてるのが不思議なくらいだ」

「ところでさ」

「ん?」

「父親の横にいた子供の霊・・・成仏させたって言ってたけど、その子は大丈夫なのか?」

「ああ、気付いたらいなくなってた・・・・父親に夢中で、ファブ○ーズ撒くのに」

・・・・・・・

「大量に撒いたから傍で匂いを嗅いだんだろう、しかし」

(やな予感・・・)

「天国には行ってないな、たぶん」

(やっぱり・・・)

「だって、眠りから覚めたその子、一人ぼっちなんだぜ。パパとママ探しまわるよな普通、切ないけど」

・・・・・・・

「今になって俺、あんな事しなきゃ良かったって後悔してる・・・・父親を芳香剤地獄に落とし、子供は天涯孤独の身なんだと気付かせちまった」

・・・・・・・

「ああ、お前に話しとかないとな。俺、親父の顔が犬に見える、って言った事あるだろ?」

「え?そんな事言ってたっけ???」

「これだからな~忘れるんだもんな~」

「覚えてね~よ!犬に見えね~し!」

「犬じゃなくて狐なんだな、多分」

「狐???」

「まあ、正確に言うと狐の面を被った元人間なんだけどな」

「ややこし~な」

「俺、おそらく親父の先祖、どっかの神社で神主やってたんじゃないかと思うんだ」

「神主~?あの親父の先祖が~??」

「俺の力も、その霊が関わってる、って気がするんだ」

「へ~」

「全く覚えてないんだけど、俺が崖崩れ予知したっておふくろ言ってたろ?」

「そんな事もあったなあ、俺もその時のこと覚えてねーけど」

「親父に憑いてるその霊が助けてくれたんじゃねーか?って思うんだ最近」

「まじで??」

「犬みたいな顔して近づき難かったけど、嫌な感じはしなかったんだよな、子供の頃から」

「親父にそれ言った?」

「言うわけねーだろ!殴られるつーの!!」

怖い話投稿:ホラーテラー 双子の弟さん  

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