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短編2
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自己中心的思考の末路

どこか遠い世界の今は亡き国のお話。

貧乏だが凄腕の魔術師が、仕事欲しさに城を訪れた。汚い身なりだったが、どうにか王に会うことができた。魔術師は自分がどれだけすごいのかを見せるために炎を出したり、テレポートしてみたりとアピールを行った。しかし王は初めから魔術など信じておらず、マジックが見られれば暇潰しにはなるだろう、という考えだった。そのため、ちょくちょくケチをつけた上に、飽きたらすぐに魔術師を外へと追い出した。

信じる信じないは個人の自由だが、師匠から教わった魔術をバカにされたことで魔術師は激怒した。そこで「城にいるものが自分勝手なこと・悪事を他人のせいにするようなことを考えたら成長する巨大食人植物」を城に植え付けた。そして、そのことを城内に伝えた。

城内は大混乱だった。城門は食人植物の根っこで完全に塞がれた。城壁にもつたがビッシリと張り付く。退治のため近づいた兵士はつるで捕まって食される。王達に逃げ場は無くなった。

女達は怯え、魔術師をバカにした王を陰で罵った。

男達は死にたくないため、他の兵士を犠牲にしてでも食人植物を倒さねばと考えた。

人々の悪意で食人植物は成長する一方だった。王は困り果てた。このままではいずれ自分も食べられる。…それならば自分以外の人間を殺害すれば良いのだ。

てこずりはしたが、城内の人間を次々と殺害し、残るは王一人となった。

ひとまずは安心だと王座に座り、ペットの猫を足の上に乗せ撫でる。明日になれば外から助けが来てくれるだろう、と甘い考えを巡らせながら。

だがそれは甘かった。自分一人だけ生き残ろうとした王の考えを飲み込み、食人植物はとてつもなく巨大化。ついには王の目の前に姿を現した。

王は焦った。しかしとっさに思いついた。この悪しき考えを捨て去れば、逆に食人植物は小さくなるのではないか、と。人間は追い詰められたら何でもできる。王は悔いた。自分のために犠牲になった人々のこと、自分が殺害した人々のこと、そしてあの魔術師のことを。

王の後悔の念が通じたのか、食人植物は少し小さくなったような気がした。

だが次の瞬間、王の足の上から、怯えきった猫が跳び下り逃げ出した。

王は驚いた。目の前の食人植物は先程より巨大化し、ついには王を食してしまった。

人間がいなくなった城の中。最後の最後で主人を見捨て自分だけ助かった猫がいた。

どこか遠い世界の今は亡き国のお話。

怖い話投稿:ホラーテラー サクリファイスさん  

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