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短編2
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一本道

A男はクラブ活動で夜遅くなり一人で真っ暗な道を帰っていた。

大通りを抜けて細く陰気な一本道を歩いていると前から人がやって来た。

A男は最初のうち気がつかなかったが、その人が近づいて来るに連れてはっきりと分かったが、その人の歩き方はひどくガリ股で爪を噛み、髪はバサバサでありどうやら顔立ちは女の人であるようだった。

A男は気味が悪かったので少しうつ向き加減で足早に立ち去ろうとした。 女の人が近づいて来ると爪を噛む音が大きくなる。 うつ向いている状態であるが、はっきり女の人の位置が分かるのである。 女の人とすれ違い様に横目でちらっと見ると女の人の足がピタッと止まった。

「すみません……」 血の気がサーッと引いた。

A男は逃げようかと考えたがその女の視線が突き刺さってき、何か逃げてはマズイ気がしたのでA男は振り向き返事をした。

「何か……?」

「あの~ この道真っ直ぐ進んだら****に着きますか?」

A男は最近引っ越して来たので、全くと言っていい程ここらの土地について分からなかったが、一刻も早く目の前にいるこの女から逃げたかったので適当に一言だけ「はい。」と言って一目散に逃げた。

しばらく走って後ろを振り向いたが、当たり前ではあるが女は走って来てはいない…

安堵のため息をつき、再び歩き始めた。 すると、前の方から誰かがやって来た。 A男は他に人がいる事に大分安心して顔を上げた。

周りが暗く顔が確認できないが電柱の灯りが微かに射す……

あの女だ!!

もう何が何だかわからなくなり、A男は一直線に走り女の脇をすり抜けた。と、同時に女は大きな声で「****はここを真っ直ぐですか?」と叫んだ。

心臓の鼓動がはっきりと聞こえる。A男はもう、無理だ…と思った時住宅街の明かりが差し込んできた。

抜け道を走って出るとやっと平静さをとり戻し、あの女は一体何者なのか。一本道なのにどうして……と考えていた。

家に着き、A男は父親に先程の話しをした。父親は真剣に聞いてくれた。

「父さんも、そんな体験はあるよ。けど、深くは考えなかったよ。この世の中幽霊がいない方がおかしいよ~。きっとその女の人は彼氏か誰かを探してたんじゃないかな~? それじゃ次は父さんの話しを真剣に聞いてくれ…」

「……………」

「再婚することにしたよ。」

居間の扉が開くとあの女がいた……

「ココデシタ」

怖い話投稿:ホラーテラー ネコたちさん  

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