ネットの某掲示板に
「呪われたい人募集」
こんなスレッドがあった。
「旅行で香港に行ったときに、連れてきてしまったらしい。こいつは呪いだ。俺にはもう耐えられない。身代わりを探している。」
「とにかく不幸が次から次にやってくる」
「代わってくれる人は名乗り出てくれ」
こんな内容だ。具体的に何が起こるとは何も書いていない。
そのスレッドが立てられてからすぐ、
「阿呆クサ」
「俺が呪ってやるよ」
「うっ殺される~」
ふざけた書き込みが多数。しかしその中にいくつか
「呪えるもんなら呪って」
「呪われたいわぁ~」
「はいはい呪え呪え」
呪われ希望者もいた。
一週間すると、
「呪ってくれよ!!何も起こりましぇ~ん」
呪われ希望者はさらに増えていた。
書き込みは100件を超え、呪われ希望者は約半数を占めた。
「な?面白いだろ?」
心理学専攻のAが、そのスレッドを見せてくれた。
「普通、呪ってくれ、だなんて言うか?二人に一人は呪って欲しいんだと」
このスレッドを立てたのは他でもないA本人だ。
「ネットじゃ顔も見えない、性別も住所もわからない。何とでも言えるんだ」
「もし俺がやつれて今にも死にそうな顔して『俺の代わりに呪われてくれ』って言ったらどうする?」
もちろんNOだ。
しかし、わざわざこんな実験しなくても、結果は予想できたのではないか。
「実証したことに意味があるんだ。こんなとき人間はこうでした、とな」
これは大学のレポートなのかAに尋ねると、首を横に振った。
「趣味だよ、趣味」
さぁ次はどんな実験をしようか、と、Aはとても楽しそうだった。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話