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中編3
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彫師②

彫師の続きです

仕事中の手持ちぶさたな時間を利用して投稿させて頂いてますので不作法、乱文はお許しください。

Wさんが独立してスタジオを立ち上げた結果は…

大繁盛でした!

私も後輩を連れていったりビラ配りを手伝ったりと微力ながら貢献させて頂いたのですが、最初の一ヶ月が過ぎた辺りからは営業の必要も無いほどに口コミで人気が広がり忙しい日々を過ごしていました。

約一年ちょっとだったでしょうか、wさんはいわゆる「マンション彫師」でしたので根無し草のような生活をしてた私はなし崩し的にwさんの仕事を手伝いながら居候をするようになりました。私の主な仕事は受付や予約の管理、資料集め……等々(平たく言えば雑用係です)

給料と言うものはありませんでしたが食・住をもらい十二分な小遣いまで頂いてたので非常に満足をしていました。

…それにwさんは今は殆どが機械彫のみの彫師が増えた中で仕上げは手彫にこだわっていました。

歯医者のドリルの様な、キイィーーーーーーーンンンと言う無機質で冷たい機械の音が終わりを告げた後にリズミカルで魂を吹き込むかのような、チッ チッ チッ ………と言う音を聞くのがなによりも好きでした。

しかし楽しい時はいつまでも続きませんでした。私の親がわりでした祖父が倒れ寝たきりの状態になってしまったのです。正直なところ私はどうしようか悩んでいました。が、wさんが私に言ったのです……

w「R(私)、お前うち帰ったれや」

私「そんなんゆーてwさんかて俺おらんかったら困るんちゃうん!?」

w「あー心配あらへんわ、スタジオCが俺ぬけてから結構厳しいみたいでな……ま、何人かうちでやりたいゆーてるから雑用は問題ないんや」

私「でもオレwさんのとこおりたいんや!ずっとここでやって行きたいし……彫師なってもええとかも考えとったんや!」

w「あ〜ほ、入れ墨ちゅーんは日陰の文化やぞ?なんぼ世間で増えて来たかてそれはかわらんのや!お前はオレと違って若いんやからわざわざ暗い場所あるかんでええねん」

私「………でも。」

w「まーだわからんか?彫師でもなろうかっちゅう程度の考えやったら覚悟がたりんゆーてんねん!日陰モンなるにも根性が足らんねん!……自分で歩けるうちに明るいところあるき」

私「……帰るわ。……wさんもクサイ台詞ようでてくるわな」

w「まあパクリやけどな(笑)」

w「そんな遠いとこちゃうし落ち着いたらいつでも来いや」

そう言うとWさんは私に退職金と言って100万円以上のお金をくれました。

そして私は実家に帰り知り合いのツテで仕事を始めました。最初のうちはWさんともちょこちょこ連絡をとってたのですが、私も新しい仕事や慣れない祖父の介護に追われてだんだんと私とwさんは疎遠になって行きました。

wさんのもとを離れ季節が二巡り半ほどした頃だったでしょうか、自宅に帰り祖父に食事をさせてた最中に突然携帯が鳴りました。

着信音でメールとわかり祖父の介護を終えて携帯を覗いてみると送信者は……

wさん!!! 

丸一年以上は連絡の無い状態でしたので懐かしくまた尊敬する人からのメールにまるで片想いの相手からのメールかのような気持ちでした………

メールを開ける直前までは………

メールの中身は一文だけでした

「助 け て く れ」

私は混乱しながら取り敢えずwさんに電話をかけました。

が、いくら鳴らしても繋がりません。どうしていいかわからずにいましたが私は急いで準備をしてwさんの所へ車を走らせました。

道中は焦燥感に駆られ全力で車を迅らせました。

しかし何故か耳の奥の方からは嫌な感じで冷たい音が響いていました……

キイィーーーーン……と

すいませんもう少しだけ続きますm(__)m

怖い話投稿:ホラーテラー 919さん  

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