彫師②の続きです
必死で車を飛ばす途中で私は悪友のOに電話をしました。と言いますのもwさんが裏社会の絡むトラブルに巻き込まれたのでは?
と脳裏に過ぎったからであります。万が一の時にはOの父の力を借りる事が出来ないものかと相談した次第です(Oの父はかなりの力を持っている方だったので)
Oから「何かあればすぐに連絡してこい」との返事を受け少しだけ心が軽くなった気がして更にアクセルを踏み込みました。
マンションの来客用のコインパーキングに車をとめエントランスの所まで走り、wさんの部屋の呼び鈴を鳴らしました……
ピンポーーン
ピンポーーン
ピンポーーン
…………
ピンポーーン
ピンポーーン
ピンポーーン
………??
返事がない?どうしたらいいものか……
時間にして1〜2分ほど佇んでいると、
ガシャ
………ロックが外れた
一瞬躊躇しましたが思い切りドアを開けエレベーターのに乗りました。かなり焦り苛立ちや緊張もあったのでしょう、闇雲にボタンを連打していたことを鮮明に覚えています。
玄関前について呼び鈴を鳴らすがまたもや返事は無い。
私「wさん!Rやけどおるん!?」
……やはり返事はない。
ドアに手をかける……開いてる
私「wさん入るよ〜…」
中に入ると電気は点いていなかったが繁華街にあるマンションの一室はネオンの煌めきが差し込みある程度の視認をするのに不自由はありませんでした。
wさんを捜すと言うよりは自分の不安を掻き消すかの様に声をかけながら歩を進めました……
4LDKのマンションだから住むには快適な広さとは言え人を一人捜すのにそう苦労するものでもなく一部屋づつ早足で見て回り、後は作業場になってた洋室を残すだけとななりました……
私「wさんここおるん?入んで!」……やはり返事はない
ドアを開け中に入った瞬間に顔に何か当たった…!?全身の毛穴がブワッと広がり汗が吹き出したっ!
……滅菌されたビニールカーテン
そう言えば作業場にはこんなものがあったなと一瞬懐かしい思いをして部屋全体に目をやると明らかに異質なモノがありました……!
黒い塊のように見えたソレは毛布を被りうずくまっている人でした
恐る恐るちかより覗き込みました
私「………wさん!?」
間違いなくwさんでした。しかし毛布の一部をはだけ現れた顔は頬はこけ、目はくぼみ、髪はざんばらに乱れあのカッコイイwさんとはまるで別人でした……
w「……Rか?」
私「そうやって!何回も声かけたやん!ピンポンの向こうから!」
w「お前のニセモンかもしれへん思ったんや…」
私「オレのニセモンて…電話もしてるしカメラで顔見えてるやろ?なに言うてんのよ………なにあったん?」
……………………………………………
刹那な時が永遠に思える様な暗く重い沈黙に包まれました。
そして沈黙を切り裂く様に携帯の着信メロディーが響き渡りました。
……Oからの電話です。心配してかけてきてくれたのですが私は親父さんのてを借りる事は取り敢えずなさそうだと告げ二、三言交わして電話を切りました。
私「wさんゴメン、ツレからやったわ」
と言いつつwさんの方に向き直るとゆらりと立ち上がり小刻みに震えだしたのです……
今まで澱んで生気のなかった目の色はガッと見開かれ双眸にはギラついた光が宿っていました……
w「…お前もオレを裏切るんか!?」
私「何ゆーてん!わからへんからwさん落ち着いてや!」
w「お前らだけやない!コイツらまでオレを裏切りよる!!」
私「せやから裏切ってへんし!コイツらってだれやねん!?」
私の中は怒りと恐怖で一杯で振り絞る様に叫んだのですが……
キイィーーーーン
キイィーーーーン
鋭く尖ったノイズが空気を裂いて聞こえてきました!
キイィーーーーン
……ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
wさんはタトゥーマシーンのニードルをいきなり自分の腕に深く突き立て激しくえぐり始めた!
w「コイツラダヨ!コイツラガオレヲクウンダヨ!!!」
尋常ではない気迫に圧倒されてると無理な負荷をかけたせいかマシーンは止まってました。
肉は裂かれ骨は削れwさんの左腕はすでに血にそまり指先からは絶え間無く血が滴り落ちていました……
私は何も言えず後ずさり仕掛けた時でした!
w「コロス!ゼッタイニコロサナアカン!」
私「……誰を?」
w「オマエヤー!!!!!!!!!」
叫ぶと同時にマシーンのコードが私の首に巻き付き物凄い勢いで締め付けてきました!
私「……やめてや…wさ…ん」
自分の吐息がヒューヒュー言ってるのが聞こえ顔の内側から圧力をかけられてるような感じだったと思います。
かなり限界を感じ死ぬんだろうな……と思いました。
だんだん意識が遠退く…………
続く
纏め切れずダラダラ長くなってしまって申し訳ありません。次で最後ですので、明日中には投稿させて頂きます。
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