この話も実話です。
怖くなかったらごめんなさい。
初めての金縛りは礼儀がよかった。(以前投稿した『サンタクロース』の時は金縛りだったのか、ビビって動けなかったのかわからないので無しにします。)
私が普通に寝ようとしてると、部屋の空気が急に重くなり、
「失礼します」
という老婆の声がして動かなくなった。
初めての金縛りだったので、目なんか開けることができず、金縛りが解けた後も目をつむったまま布団の中で怯えていた。
二回目の金縛りは失礼な奴だった。
いつものように寝ようとしてると、また部屋の空気が重くなり、「やだな~」と思っていると、突然おでこに衝撃が走った。
間違いなく、デコピンだ。
その後金縛りになったが、恐怖よりも「なんで?」という気持ちになった。
その後、何度か金縛りに遭ったが、どれも部屋の空気が重くなったあと、金縛りになるだけだった。
そして、最後の金縛りはヤバかった。
またいつものように寝ようとしてると、お決まりの空気が重くなり、金縛りになった。
「今回は目を開けてやる!」と思い、勇気を振り絞って開けた。
何もいない。
首が辛うじて動くので、部屋を見渡したが誰もいない。
「なんだ~」と思い、とりあえず筋力で金縛りを解こうとしたが、首以外全く動かない。
すると、すねあたりに何かが下から引っかかるような感触があった。
手だ。
すぐに首をあげて足元を確認したが、何もいない。しかし、布団で隠れて見えないが、確実に両足に手が引っかかっている。(掴んでいる感じでは無かった)
「何!?何!?」と思っていると、今度は足がゆっくりと下に沈んでゆく感覚がした。
膝が折れ曲がるというよりも、体が一直線の棒になって、しなるように沈むようだった。
目で見ても、爪先であろう布団の膨らみが徐々に無くなってゆく。木の板に敷き布団を敷いただけなので、沈むはずがない。
「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい」
動かない体はゆっくりと沈んでいき、腰らへんまで沈もうとしていた。
「こんなんで死んでたまるか!」と思い、全身の筋肉を全力で動かそうとしたとき、
「バチンッ」
という音と共に体が一気に戻ってきた。
金縛りも解けていて、その後も特に何も無かったが、その日は寝ることができなかった。
この出来事以降、私は金縛りには遭っていない。
怖い話投稿:ホラーテラー ふぇさん
作者怖話