今回も100%実話なんですが、かなり昔のことなので記憶があいまいな部分もあります。ご了承ください。
この話は私が中学2年生の頃の話です。
【私の初体験】で一緒に神社に行ったサッチャンと、中2でまた同じクラスになりました。
中2最大のイベントは何といっても修学旅行。
私の学校は受験があるせいか(普通の公立中学)、中2・高2の行事として修学旅行があり、3年は勉強に集中というとシステムでした。
行き先は「K」「O」
「K、N」は小6の修学旅行で行ったので、あえてO県を選んできたあたり、学校側の工夫が見られます。
夏休み前の初夏、日程はC県からまずO県へ。
K市の美術館などを巡り、ホテルに1泊。
次の日Kに移動し、定番中の定番コースを散策しKに1泊・・・
計2泊3日の旅行です。
行きの新幹線からテンションはあがりまくり、しかも仲良しのサッチャンと同じグループ。
同級生は小学校から持ち上がりのメンバーがほとんどです。
そのため、神社で起こった出来事はほぼ全員に知れ渡っており、「まる(私)とサッチャンとミッチとユッコ(この二人は神社メンバーで隣のクラス)の4人には霊感がある・・・」と面白おかしく噂されていました。
当然修学旅行も何かが起こるだろう・・・と、私のいる1組とミッチたちがいる2組は、他のクラスよりも更に浮き足立っていたのです。
1日目のO県・・・
いろいろ観光した後ホテルに到着
部屋割りが発表された。
私たちの部屋は5階の一番奥、非常口前。
重い荷物を持って部屋に到着すると、とにかく広い、感動!!!
クラスの女子は20人ちょっといて、2部屋に分かれていた。
つまり1部屋10人くらい。
この大部屋に10人、テンション上がる。
「広い部屋だねぇ~」
「すごいねぇ~」
その後のスケジュールは大広間でご飯を食べて、その後部屋で自由時間、「布団は自分たちで敷けよ!」と先生に言われていたので、とりあえず食事前に敷いてしまうことにした。
10人分の布団を詰めて敷いたところ、部屋の半分も使わなかった。
準備をして大広間へ。
すでに他の部屋の子達は集まっていた。
食事中に他の部屋に遊びに行く約束を取り付けた。
禁止されてたお菓子を持ち寄りトレードする予定。
そして食事が終わり同じフロアの別グループの部屋へ。
「せまっ!」
これが第一印象。
10人分の布団を敷き、テーブルを置くと歩くスペースに困るほどだった。
「私たちの部屋、超広いんだよ、見にきなよ!」
みんなでゾロゾロ移動する。
「本当だ」
「何でだろうね」
「じゃあ男子の部屋はどうなんだろう・・・」
消灯時間までまだまだ余裕があったため階下の男子フロアへ。
途中先生に会ったが「早く戻れよ!」と言われるだけで怒られはしなかった。
男子部屋も2つ。
更に狭いものだった。
布団同士が若干重なり合って敷かれ、テーブルも無かった。
荷物も入り口スペースに山積みにされている感じ。
一度廊下に出て私たちの下の部屋を見ると「リネン室」になっていた。
再度部屋に移動した。
狭い空間だが、クラス全員が集まり、布団の上に座り込んで話しているのは非常に楽しい時間だった。
そろそろ消灯時間。
それぞれがそれぞれの部屋に散って行った。
私たちも、あの広い部屋に戻っていった。
部屋に戻って部屋風呂に入る。
その後しばらくは、10人の女子がキャーキャーと騒ぎ、噂話や好きな人の話などで盛り上がっていた。
部屋にはテレビがあったがカード式で見ることが出来なかった。
時間を追うごとに返事が曖昧になる人、寝始める人が出始め、会話をする人数は減っていった。
そして、他の部屋からの話し声も聞こえなくなっていった。
しばらくたって気がついた。
カーテンが少し開いてる・・・。
部屋に戻ってきたときに10センチほどしか開かない窓の確認と、その時白いカーテンも閉めていたはずなのに・・・。
「カーテン開いてるよ!」
「本当だ」
「さっき閉めなかったけ?」
「閉めたよね・・・」
「誰か閉めなよ」
「嫌だよ、怖いよ・・・」
結局ジャンケンすることになり、負けた二人が一緒に閉めに行くことになった。
そぉ~っと窓に近づく二人、
その時・・・
「きゃぁぁぁーーーっ」
二人が悲鳴を上げた。
さっきまで「ほんの20センチ」ほど開いていたカーテンを、更に大きく開けた状態で私たちのところに戻ってきた。
この叫び声で寝ていたメンバーも起きだした。
窓を見ると、古い詰襟の学生服を着た男の子が、横向きより少しだけこちらに向いた状態で立っていた。
実体ではなく緑色、蛍光グリーンに近い色で線描きされているような、そんな姿だった。
体は斜め前、でも目だけはこちらを見ている・・・そんな状態。
部屋の電気がチカッチカッと点いたり消えたり、
カード式テレビのスイッチがカチカチと音を立てていた。
画像が映っているわけではない。
リモコン式のテレビなのに、昔のダイヤル式のチャンネルをユックリ回しているような音。
外灯があるような明るい場所でもないのに窓の外は明るく、詰襟の男性をハッキリ見ることが出来た。
男の子の顔は次第に崩れ始め、最後は泣き顔になって消えた。
この間、10分あっただろうか。
でも私たちにはすごく長く感じた。
みんな怖がってはいたが、どちらかというと呆気にとられている感じ。
男の子が消えると部屋の電気も消え、テレビも異音がしなくなった。
私はカーテンを閉め、部屋の明かりをつけた。
みんなで話し合い、明るいまま朝まで過ごそうと決めた。
でも眠いものは眠い。
明るい部屋の中でいつの間にかみんな眠りについていた。
翌朝、6時に広間で朝食。
食事後はオリエンテーションがあり、部屋の掃除をしてバスにてKへ出発。
そんなプランだったと思う。
若干寝不足だった私たちは、昨日あった出来事を他のグループに話しつつ、朝食を早々に終えて部屋に戻った。
そして再度広間に戻ったときには、食事の後片付けが終わっており、座布団が大量に並べられていた。
オリエンテーションの内容は、地元老人会の方のお話を聞く会・・・だった。
おじいちゃん、おばあちゃんが、時折声を詰まらせながら話してくれた内容に私たちグループは驚いた。
この地域一帯が、戦時中に疎開していた子供たちが多い土地だったこと、ここで親の死を知り、引き取り先の迷惑になりたくないからと自ら命を絶つ子供が多かったことなど。
楽しいことも全て取り上げられ、学ぶことも遊ぶことも出来なかった子供たち・・・。
そんな話を1時間ほど聞いた。
今の詰襟とは違う、古いデザインの学生服・・・
多分その時代の人なのかな・・・と漠然と感じた。
オリエンテーションが終わって、学年中が騒ぎになった。
昨夜の話をし始めた子がいたからだ。
でも老人会の方の悲しい話を聞いた後だったため、茶化すような雰囲気にはならなかった。
隣の部屋の話し声は聞こえていたのに、隣の部屋に私たちの叫び声は聞こえなかったらしい。
2組の部屋には何も起きなかった。
結果、不思議な力があるのは「まる」か「サッチャン」だね・・・と言われた。
部屋の掃除を終え、ホテル入り口に集合。
ホテル裏に位置する駐車場のバスに移動するのだが、その時ホテルの周りを半周回った。
私たちが泊まった部屋には横並びで窓が3箇所あったのだが、その一番端とその隣の窓の部分(非常口側から)、その縦一列は建物自体が新しかった。
付け加えて建てたような感じ。
そして、その建物の角には小さな石像が置いてあった。
お地蔵さんでもなく、人の形をした小さな像だった。
もう表情も読み取れないほど古いものだった。
自然とみんなが手を合わせて通り過ぎ、バスに乗り込んだ。
そしてKに向かった・・・。
(長くなってしまったので、K市の話はまた後日書きますね)
怖い話投稿:ホラーテラー まるさん
作者怖話