高校3年の夏休み中頃○崎県の旅館へ家族で泊りにいった。
家から約3時間ほど車を走らすと、見るからに出そうな古い旅館に到着した。
内心私は何故こんな古い旅館にしたの?不思議でいっぱいだった。
後で聞くと、昔から親父の友達が働いて、顔が効くらしい。
決まった事は仕方がない。部屋に着くなり早速大浴場へと足を運んだ。
ちなみに部屋は角部屋で何故か三角形の様な奇妙な部屋だ。
大浴場に着いた。古い旅館とは裏腹に素晴らしい景色の露天風呂があった。
後ろは山に囲まれ、前は海の水平線が見えている。水平線の先には赤々と綺麗な夕日が顔を出している。
私はその景色に酔いしれ2時間程風呂に入っていた。
気持ち良く風呂から上がると大広間での晩御飯が待っていた。
これまた素晴らしく美味しい料理が運ばれてきた。
マグロの刺身。サイコロステーキ。などなど。
その時までは、何て素晴らしいのだろうと思っていたのだが…。その時までは。
疲れが溜まっていたのか、部屋に着くなり直ぐに眠りに就いた。
ズズズズズズズズズ
奇妙な音に目が覚めた。 時計を見ると夜中に2時を回っている。また眠りに就こうとするとあの音が聞こえる。
外から?
気になって眠れない。
何の音か確かめてやる。
耳を凝らしてみる。
ズズズズズズズズズズズズ
あれ?音が近づいてくる。
こんな夜中に誰やねん!!
イライラしながら窓を開け外を見た。
私たちの部屋は三階だったのだが。
窓の下を見た、下から壁添いに顔だけがはい上がってくる。しかも顔は上を向いていて目が合ってしまった。
その直後金縛りになり、そこから目が離せなくなってしまった。
顔がどんどん近づいてくる。恐怖の余り失禁していた。
ズズズズズズズズズズズズ
金縛りにあい、動けなくなっている私に向かって下から顔だけが登ってくる。
ズズズズズズズズズズズズ
1階から2階、2階から3階へと登ってくる。
その顔がはっきりと見えだした。
男性の顔だ。目は狐のように細く吊り上がっている。鼻は折れているのか、陥没している。口は何故か泣き叫んでいるような口をしている。声は聞こえなかった。
男の顔と私の顔が段々近づいてくる。5メートル…3メートル…1メートル…30センチ…。ずっと目が合っている。
私はこのまま顔がくっつけばどうなるのだろうか。
不安と恐怖で押しつぶされそうだった。
あと5センチぐらいまで顔がきた所で、携帯が鳴った。
ピピピピピピ、ピピピピピピ、
その瞬間金縛りが解け部屋に逃げ込んだ。しかし顔はお構いなしに部屋に入ってくる。
ごん!
窓から部屋に顔が落ちる音が聞こえる。
コロコロっと顔を私の方へ向けた瞬間!!
空間が歪みだす。
グニャー。
部屋の中がグニャーっとなり、気付けば部屋の中には女性が1人と男性が1人いた。
家族の姿が何処にも見当たらない。
私は声を出して泣いたが、男女には聞こえなかった。まるで私は存在していなかった。
落ち着きを取り戻し、ふと気付いた。男性の顔がさっきまで見ていた顔だけの男の顔だった。
その男は女と喧嘩していた。内容は覚えていないが、凄まじかった事は覚えている。
とうとう口喧嘩から取っ組み合いの喧嘩になりだした。
とその時女が鞄から包丁を取出し男の首にひと突き。
グサ。
血が吹き出している。
私はその光景をみて気絶しそうになった。
男は即死、女は男の首を切り私の方に投げつけた。
私の存在は気付いていなかった。たまたま私の方に投げたのだろう。
その時男の顔があの悲しい顔に見えた。
顔が床に転がった瞬間。
また部屋が歪みだす。
グニャー。
気付けば倒れている私の顔の横に男の顔があった。
目を開かせた男が笑顔でいった。低い声で。
ミセテヤル。
その瞬間気絶をした。
朝、目が覚めたら、何事も無かったかのようだった。
しかしあれは夢ではない。それだけは言える。
最後の男の言葉は意味がわからなかったが。
この体験は忘れる事はないだろう。
終わり。
下手ですみません。上手くつたわらなかったですね。
怖い話投稿:ホラーテラー くゎさん
作者怖話