続きです。
父「あそこは入るだけなら縁起がいいはずなんだが、なんで草様が姿を見せる?」
祖父「あの時みたいにならんようにお前を当主から外してここに寄越したんじゃないか。
なんでだ?封じは毎年やってる筈だぞ。」
叔父さん「何故かは分かりません。しかし確かに入っただけなら縁起はいいですし、私もあの時以来入り口には入っていません。見つけてもないです。」
神主「おかしい。まだ彼等は子供だから入り口を見つけるって事も有り得るけど、草様を見るなんてあり得ない筈です。後何年も余裕はあったはずです。」
少々説明臭いですがそんな内容の押し問答を車の中でしていました。
叔父さん「昨日なら着けるはずだぞ」
そう言った束の間。
獣に似たなんとも言えない香りと線香が交じったような臭がしてきました。
神主「!。来た。入れる!
このまま祝詞をあげますから直進して下さい。暫くすると着くはずです。」
神主が祝詞を挙げ始めて十秒も経たない内な昨日の記憶を掘り起こすように最初の普通の神社が見えた。
神主「え!」
叔父さん「ん!」
父「え、まさか!」
神主「早すぎる。しかも祝詞無しでこんなに早く着くはずない。」
祖父「ワシは入った事もないが、何かおかしいんか?」
神主「ええ、30年前にの時は一時間近く祝詞を父が(先代)があげてようやく着きました。
それにこんなに臭くなかったし、山が黒い霧がかかるなんてなかった。
」
昨日見た山は晴れていて爽やかな印象だけだったのに、今日はとても入る勇気が持てない程異様な雰囲気に包まれている。
霊感なんて自分にはないと思っていた自分だけど、目の前の光景はこの世に似たどこかって事しか分からなかった。
一行はまずは最初の神社にたどり着いた。有名な神様が祭ってある神社だ。
神社に入ると中だけ黒っぽい霧は晴れていて凜とした静寂に包まれた空間だった。
神主「さて、説明するよ。
ここはさっき会話から少しだけ分かったと思うけど、この世じゃない。でもあの世でもない。その間にある場所で普通は入れない場所。
ずっとずっとずっと昔からあったと思われるけど、この神社の事が分かったのは最近なんだ。
林業で今まで禁足の地であったこの場所まで事業を広げて、人が少しずつこの村の辺りまで入ってくるようになった。
そしてある時入り口を見つけた子供が何人か出た。
ただ、その何人かはその後いい事ばかり起きるようになった。
それがこの神社の神様のおかげなんだ。
でも、君たちが見たのはこの先の不気味な岩だったろ?
あれは先代が子供の頃に見つけたんだ。
神主をやっていた大人になった先代は地元の独自の郷土の歴史書や○○神社に伝わる言い伝えやらなんやらで不思議な神社の研究をした。
それでそこには蛇の神様みたいなもんが封じられてる事が分かったんだ。だから毎年もう入られないように毎年結界をはるようにしている」
随分ファンタジーな内容だが今の状況からは信じるしかなかったし、ただ話しを聞いていた。
続けて神主は言う「君の父親が私と子供の頃にここに入った事がある。
私はそれまで一回、彼は始めてだった。
そこであの岩の場所で蛇を見た。巨大な蛇。
でも当時は何か分からなかったし、今までここに入れた子供達は誰も蛇はおろか岩も知らないと言う。
その時はそれで終わったんだ。先代は子供の話しをよーく聞いて、何やらぶつぶつ言いながら考え込んだり、古い書を探して調べ物をしたりしてた。
先代が癌で無くなる直前にここの事、蛇や岩に着いての事を話したんだ。
ずっっとずっと昔にこの地に蛇の邪悪な神様がいて、それを抑える為に今の神様が封印をした。で、それがあの岩としめ縄」
雅治「ちょっと待って下さい。しめ縄なら蛇の騒動で慌ててて取ってしまいましたよ!全部!」いつも冷静な雅治も慌てて告げる。
ため息をついて神主「私もここの事は分からない事の方が多い、ただ色々調べて、色んな霊能力者や神主、僧侶などに聞いても分からなかった。
でもある○◆大社の巫女さんだけは神様の声が聞けるって有名だったから来てもらったんだ。
ここには入れなかったけど、ウチの神社の神様に聞いたら少し分かった。
なんでもウチの神様より蛇の神様も抑えてる神様も随分偉い神様で全部は分からない。
しかし、斎藤(仮名です。名門と言われる僕の家)家先祖と土地の所有者である今の斎藤家が関係あるみたいです。
そしてここに行った事のある斎藤家の2人と当主の(祖父)と神主、有名大社巫女とで封じの儀式をする事になった。
何せ神様と会話出来て、力も強いのは巫女であるから言うとおりにするしかなかった。
これをしないと斎藤家は一族喰われるだろうし、この山一帯がこの世界に近くなるから。
そういわれて封じ神の儀というのをして、さらに巫女が言うには『草様というらしい』蛇を閉じ込めても守りがいないとダメという事だった。
そこで君(僕)の父が当主から外れてここに残り、自分も巫女の勧めた通りここに残った君のお父さんの手伝いをするようにした。
」
暫く静寂の後
神主「よく言うお祓いや呪いのように何かしたらいいとかどうなるってのは私でもさっぱり分からない。
ここの事は今言った程度の事しか分からないし、私達の世界の事が通じるかも分からない。ただ、出来るだけの事はする。
巫女がまだ生きていれば良かったけど、神様に愛された人は短命が多いと言われるように早死した。
だから私しかいないが覚悟はしといてくれ。
」
僕達三人ただ涙を流しながら後悔をしていた。
ガソリンがなかったならなって思った。
神主「雅治くん。正直に言うと君が一番魅入られている。一番いい男だし、縄を切ったのも君。そして声が美しいのも君。
神様ってのはいい神様も悪い神様も人間の声で好き嫌いが分かれるもんなんだ。その要素が強い。と巫女が生前言ってた。
さて、どうなるかは分からない。みんな死ぬかもしれないし、何もならないかも分からない。ただ、雅治くんが一番危険だから覚悟はしといてくれ。
残酷な言い方だけど、それしか言えない。
相手は凄く強い神様だし、ここはもうこの世じゃないから」
一同 ただ頷くだけ。
持ってきた塩と原酒と言われる高い酒。さらに米と神主が降る短冊みたいなのを降り始めた。
ここの内容を書きたい。
しかし記憶にない。
気が付いたらみんな車の中で気絶していた。
夢の出来事なら良かったと思う、今でも。
みんな身体中酒臭いし、米や榊の葉っぱが付着していたりしていた。
最初に目を開けた叔父さんは雅治だけいなくなってるのを発見した。
途方にくれていたら車の後ろ、林道の向こうに雅治の服を着た何かが見えた。
叔父さん「ちょっとまっとれ!
出るなよ」
叔父さんは雅治を道の隅に避けて戻ってきた。
叔父さん「見ない方がいい。後はワシとじい様でなんとかするから、お前はジミー君と家に帰れ。」
僕もジミーも雅治に会わせてくれと頼んだが、叔父さんは構わず雅治を残して発進した。
泣いて頼んでも車は止まらない。巨漢のジミーが興奮しまくってるのを見て叔父さんは少し行って車を停めた。
「親友の首のない死体を生で見れるか?
こうなったらどうにもならんのだ。」
言葉にならずただただ泣いた。その後はあまり記憶がない。
そして神主の神社に着いた。来ていた白い糖衣を燃やして着て来た服に着替え直した。
神主「君たちにこれだけは言っておきます。
悪い神様と繋がりが出来てしまったからこれから先どうなるかは分かりません。
ただ雅治くんのようにならないように大社にはお参りしなさい、定期的に。あそこの大社はあの山の神様と同じだからきっと守ってくれるはずです。
亡くなった雅治くんには悪いですが、彼が封印を解いてしまったのだから仕方ないのです。
それに彼は最初に岩の所で蛇におにぎりを供えたそうです。余計魅入られてしまったんですよ。
どうにもならなかった。
ただ私も含め助かった事を○△命に感謝してこれからも参拝なさい。
幸い割り近くにあるんですから。
そして忘れなさい。無理かもしれないけど、そう心がけなさい。
後の事は斎藤家の人となんとかしますから。
最後にこの事は決してしゃべってはダメですよ。すでに繋がりがあるあなた達2人は草様に近い存在なのだから。私は神様の声は聞けないから答えは出せないが、この事は言ってはいけない事になったんだ。」
その後、雅治は行方不明という事になった。
事件時の保護監督者である叔父さんが可能な限り賠償して決着がついた。
ジミーとはその後も仲は良かったが、二十歳の時に発狂して死んだ。飛び降りだったが、何故か身体中鱗のように鬱血した死体が見付かった。
僕はなんとか生きている。ジミーは近所が学会で宗教チックな事に辟易していたので、神社に行く行為があまり好きでなく、僕より参拝の頻度がずっと少なかった。
僕が生きてるのは毎朝大社な欠かさず参拝しているからだ。
早朝になると境内を掃除しながら参拝する。
それで生きてるんだと思う。
ただ精神的にはおかしくなっている。今だにかなり参っていて、悪い夢も見る。
さらにあの事件以降全くなかった霊感がバリバリ出てしまった。
ジミー、雅治の墓参りには行っている。すごく霊感がついた自分は死者と話す事も出来るようになった。
ただ2人共この世にもあの世にもいないようだ。墓も仏壇も空っぽなんだって今ははっきり分かる。
自分は人に話してはならない、縁を繋げてはいけないと言われた。でももう疲れた。
あの世でもない世界で囚われているであろう2人の元に連れて行かれても構わないという決心というか、覚悟というか、半ば投げ遣りな気持ちで投稿する事にした。
こんなに長い文章を文系でもない無学の自分が記憶を辿って書いて見苦しかっただろうと思う。
創作としか思えないだろう事象だけどここまで読んで頂き有り難う。
最後に自分が言うのもなんですが、
学生時代の友人って一生ものだから、大事にした方がいいよ、皆さん。
生きて行けたらまたサイト覗きます。では
怖い話投稿:ホラーテラー ボクチャンさん
作者怖話