真奈美の目に生気はなく、フラフラと川まで近付いてきた。いわゆるオーソドックスな『三途の川を渡る』の光景だった。
「…真奈美っ!!」
祐介は大声で叫んだ。川を渡ろうとする真奈美の手を掴み、抱き締めた。
「良かった…本当に良かった!」
「さぁ、戻ろう…真奈美。現実世界へ」
まだ朦朧とする真奈美の肩を支えて、祐介は真奈美が来た道を進み始めた。
アルスはやれやれとため息をつき、2人を見送った。2人は深い森の中に消えた。
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「こんなコトがあるものなのか…」
医師はイスに座りため息をついた。
「死亡したと思われた真奈美さんの心臓が奇跡的に活動しかけたのに…」
看護婦が言う。
「しかも生死をさまよっていた祐介さんも同時に死亡なんて…」
医師は言う。
「長年の経験でね、意識不明だったが彼らには懸命に生きようという意思があった。それは解るんだよ。それでも…駄目だっだのが残念だよ…」
「神様も残酷ですよね…」
(終り。駄文失礼しました)
怖い話投稿:ホラーテラー 春近さん
作者怖話