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中編4
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お前らだよ

夏のある日2組のカップルが海水浴に出かけました

A君とA君の彼女、B君とB君の彼女の二組。

A君はバイクを持っていたので現地まで1人で走って行きました。

残りの三人はB君が運転する車に乗ってA君について行きました。

その日一日遊び、日が暮れて帰ることに。

そこでB君は、帰り道は家まで競争しようと提案。

A君達もB君達も同棲していて、住んでいる部屋もアパートも同じアパート内だったので、家の前に着けばどちらが早かったか分かるという状況でした。

そしてお互いスタートし、先についたのはB君達の車でした。

勝った事に喜ぶB君達。

しかし、A君の彼女は少し心配になってきました。

A君はバイク好きで、一人で走ることも多いのです。そのため運転はとても上手く、裏道などもよく知っているし。

バイクのA君が先についていてもおかしくないはずです。

遅れる理由があるはず・・・B君達もA君の彼女の不安そうは表情を見て心配になってきました。

しかし、その日のうちにA君は帰ってきませんでした。

次の日、A君の帰りを待ち続けた三人に悲しいお知らせが入りました。

なんとA君は帰り道の途中、カーブを曲がり切れずに事故を起こしてしまったとのことでした。

警察の話を無言で聞くB君と彼女。

その話しを少し離れた所から聞いていたA君の彼女。

B君が戻ってきて言いました。

「・・・ガードレールに、物凄いスピードで激突して・・・即死だったらしい・・・」

しかしB君達がさらに驚くべき事をいいました。

先に切りだしたのはB君の彼女でした。

「あのね、驚かないでね・・・。実は、昨日の夜来たの・・・私達の部屋にA君が・・・ドアの前で・・・。。。」

「最初は誰だろうと思って・・・それで誰?って聞いたら・・」

「Aだって言うんだよ!!」

B君が割って入りました。

A君の彼女は何言ってるんだろうと思いながら聞いていました。

「無事帰ってきたのかとホッとした反面、何でこんな夜中に来るのか不自然だと思った。

でも、明らかにあいつの声だったんだよ!!」

「でも・・A君はもう・・。」

「だから今、怖くなって・・」

「で、でもその時は実際・・!?」

「いや、開けたらいなかった。ドアの前には、Aはいなかったんだ。」

「その後、ずっと気配が消えなくて…気のせいとも思ったんだけど・・」

「とんにかく、事実ははっきりした。もしAが部屋に来ても絶対入れては駄目だ!!」

「何かあったらいつでもこっちこいよ。」と言ってB君達は部屋へ戻って行きました。

そして深夜。

A君と過ごした部屋で一人泣いて横になっているA君の彼女何か気配を感じ息をとめました。

「来た・・」

ドンドン!!

「俺だよ!」

「開けてくれ!」

彼女は開けたい気持ちを抑え、泣きながら無視をしました。

「ごめん・・・ごめんね・・」

「おーい開けてくれよ!いるんだろ?」

ドンドン!!

彼の顔が脳裏に浮かび、無意識にドアに近づいてしまうA君の彼女。

「なぁ。あけてくれよ・・・目をさましてくれよ・・」

ドアの覗き窓からうっすら見える人影。

「・・あなたは ・・んだの・・」

ドンドン!!

ドアの振動が身体に伝わってきました。

彼に成仏して欲しい。せめて楽にしてあげたい。その一心で、A君の彼女は覚悟しました。

一気にドアを開けると叫びました。

「貴方はもう死んだの!!事故でしんでしまったのよ!!」

「それはお前らだよ!!」

「え?・・」

彼女は気を失いました。

・・・・・・・・

次に気付いた時、彼女は治療室のベッドの上にいました。

目の前にはなんと死んだはずのA君がいて、泣いて喜んでいました。

状況がまったくよめない。

彼女にA君は話しかけました。

「競争して、俺が家についても、お前ら全然来なくて。」

「・・・?」

「それで来た道を戻って探したら、車めちゃくちゃで・・」

「前の座席にすわってたB達は即死だったって・・」

「でもお前は我慢してたけど、意識を失ってるだけで・・必死に呼びかけたんだよ。」

「じゃぁ、私・・」

彼女は急に怖くなり、泣きだしました。死んだと思ったA君に抱きついて。

安心なのか、B君達のことへの悲しみなのか、訳わからずにただ泣きました。

A君の呼びかけを無視し続けていたらどうなっていたか。それを考える余裕もありませんでした。

そして

「なにかあったらいつでもこっちにこいよ。」

その言葉を思い出したのは、もう少し後になってからです。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

怖い話投稿:ホラーテラー 味聯さん  

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