夏のある日2組のカップルが海水浴に出かけました
A君とA君の彼女、B君とB君の彼女の二組。
A君はバイクを持っていたので現地まで1人で走って行きました。
残りの三人はB君が運転する車に乗ってA君について行きました。
その日一日遊び、日が暮れて帰ることに。
そこでB君は、帰り道は家まで競争しようと提案。
A君達もB君達も同棲していて、住んでいる部屋もアパートも同じアパート内だったので、家の前に着けばどちらが早かったか分かるという状況でした。
そしてお互いスタートし、先についたのはB君達の車でした。
勝った事に喜ぶB君達。
しかし、A君の彼女は少し心配になってきました。
A君はバイク好きで、一人で走ることも多いのです。そのため運転はとても上手く、裏道などもよく知っているし。
バイクのA君が先についていてもおかしくないはずです。
遅れる理由があるはず・・・B君達もA君の彼女の不安そうは表情を見て心配になってきました。
しかし、その日のうちにA君は帰ってきませんでした。
次の日、A君の帰りを待ち続けた三人に悲しいお知らせが入りました。
なんとA君は帰り道の途中、カーブを曲がり切れずに事故を起こしてしまったとのことでした。
警察の話を無言で聞くB君と彼女。
その話しを少し離れた所から聞いていたA君の彼女。
B君が戻ってきて言いました。
「・・・ガードレールに、物凄いスピードで激突して・・・即死だったらしい・・・」
しかしB君達がさらに驚くべき事をいいました。
先に切りだしたのはB君の彼女でした。
「あのね、驚かないでね・・・。実は、昨日の夜来たの・・・私達の部屋にA君が・・・ドアの前で・・・。。。」
「最初は誰だろうと思って・・・それで誰?って聞いたら・・」
「Aだって言うんだよ!!」
B君が割って入りました。
A君の彼女は何言ってるんだろうと思いながら聞いていました。
「無事帰ってきたのかとホッとした反面、何でこんな夜中に来るのか不自然だと思った。
でも、明らかにあいつの声だったんだよ!!」
「でも・・A君はもう・・。」
「だから今、怖くなって・・」
「で、でもその時は実際・・!?」
「いや、開けたらいなかった。ドアの前には、Aはいなかったんだ。」
「その後、ずっと気配が消えなくて…気のせいとも思ったんだけど・・」
「とんにかく、事実ははっきりした。もしAが部屋に来ても絶対入れては駄目だ!!」
「何かあったらいつでもこっちこいよ。」と言ってB君達は部屋へ戻って行きました。
そして深夜。
A君と過ごした部屋で一人泣いて横になっているA君の彼女何か気配を感じ息をとめました。
「来た・・」
ドンドン!!
「俺だよ!」
「開けてくれ!」
彼女は開けたい気持ちを抑え、泣きながら無視をしました。
「ごめん・・・ごめんね・・」
「おーい開けてくれよ!いるんだろ?」
ドンドン!!
彼の顔が脳裏に浮かび、無意識にドアに近づいてしまうA君の彼女。
「なぁ。あけてくれよ・・・目をさましてくれよ・・」
ドアの覗き窓からうっすら見える人影。
「・・あなたは ・・んだの・・」
ドンドン!!
ドアの振動が身体に伝わってきました。
彼に成仏して欲しい。せめて楽にしてあげたい。その一心で、A君の彼女は覚悟しました。
一気にドアを開けると叫びました。
「貴方はもう死んだの!!事故でしんでしまったのよ!!」
「それはお前らだよ!!」
「え?・・」
彼女は気を失いました。
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次に気付いた時、彼女は治療室のベッドの上にいました。
目の前にはなんと死んだはずのA君がいて、泣いて喜んでいました。
状況がまったくよめない。
彼女にA君は話しかけました。
「競争して、俺が家についても、お前ら全然来なくて。」
「・・・?」
「それで来た道を戻って探したら、車めちゃくちゃで・・」
「前の座席にすわってたB達は即死だったって・・」
「でもお前は我慢してたけど、意識を失ってるだけで・・必死に呼びかけたんだよ。」
「じゃぁ、私・・」
彼女は急に怖くなり、泣きだしました。死んだと思ったA君に抱きついて。
安心なのか、B君達のことへの悲しみなのか、訳わからずにただ泣きました。
A君の呼びかけを無視し続けていたらどうなっていたか。それを考える余裕もありませんでした。
そして
「なにかあったらいつでもこっちにこいよ。」
その言葉を思い出したのは、もう少し後になってからです。
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怖い話投稿:ホラーテラー 味聯さん
作者怖話