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中編6
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質屋

~二次会にて~

そういや最近

俺が閉店の作業をしていると若い男性が店に走り込んできてさ。『どうしましたか?』って聞いても、汗だくのままオロオロしていたんよ。

A『で?』

最初はさ【酔っ払いか?】と思ったんだけど酒の匂いはしないから何からか逃げてる?

とか思っててさ。

タンクトップ着てたんだけど、鷲の入れ墨いれてたし、普通に話が出来た人だから精神的におかしい人じゃないんだろなって俺は思ったわけよ。

ヤクザから逃げてるのか?とも思ったよ。

そしたら『買い取りしてください!お願いします!』なんて頭を下げてきてよ。

あんま頭を下げられるなんてないから、よほど金がないんか思ったよ。

でも違うみたいでさ

財布はVUITTONだし、ベルトはD&Gだし。

ま、とにかく『何を買い取ればいいんですか?』って聞いたら

『これ』

と出されたのは、普通の指輪だったんだよね(笑)

なんか、もっとすごいの来るんじゃないかって思ってたけど拍子抜けだよ。

でも、びっくりしたのは

その【金属】なんだよ。

A『金の塊すか?』

B『塊は指輪に出来んめ!笑』

多分すごく古いんじゃないかなって思った。んー表現が難しいんだけど、普通の金属じゃなかった。柔らかい?金属みたいな・・・曲がるくらい柔らかいわけじゃなくて硬度が低いっていうか・・・

B『金属は柔らかくないっすよ!先輩寝ぼけてたんじゃないっすか?笑』

寝ぼけてねーよ!

何の金属かわかんなくてさ、値段の付けようがなくてとりあえず普通の指輪くらいの値段で買い取ったわけ。

指輪ってサイズとかあるから高く買い取りできないんだよ。だから2千円でいい?って聞いたら

『ありがとうございます!』って言って帰ったよ。

なあ、不思議だろ?

A『で?先輩オチは?』

こっからだよ。

指輪は古い型なんだが、傷がなかったから商品として出すために引き出しに入れておいたんだけどさ

次の日出勤したら引き出しに指輪がないんよ!

A『先輩寝ぼけてたんすよ!笑 どこかに置いたんじゃないんすか?』

いやいや。

アクセサリー類の買い取った商品って、同じ引き出しになおすようにして鍵までしてるのに失くなったんよ!

不思議くね?

B『確かに!先輩が寝ぼけてないなら、不思議体験っすよ!』

だろ!

しかも、紛失して2日たったある日おばちゃんが全く同じ指輪を持ってきたんよ!

最近の流行りなのか?て思ったけど、どうも紛失した指輪と同じなもんでおばちゃんに『この指輪どうしたんすか?』って聞いたら、『いや・・・』とか言うわけよ。

だから、うちの店で紛失した指輪なんすよね!って言ったら『私は盗んでないよ!昨日の夜中に商店街で拾った』って怒りながら言い出してさ。

結局、買い取らなかったよ。

なんか、不気味でさ。

B『でも、なんで紛失した指輪って気付いたんすか?』

それがさ指輪に【申】って彫られていたからさ。

サルとも言うから、申年の人が誰かに頼んで作ったのかもしれんな。

それからまた2日くらいした昨日なんだけど、若い女の子ががまたその指輪を持ってきたんだよね。

B『なんなんすかね・・・』

不思議だよな。

だから千円で買い取って俺が付けてる。

A『先輩の指輪が、今の話の指輪なんすか?不気味な指輪なんてよく付けれますね。』

だって気になるやんか!なんか、みんなが質にいれたがる指輪って珍しいやんか?

人差し指に、きれいにハマったしな。

B『・・・話遡りますけど、鷲の入れ墨いれた奴って金髪にモヒカンすか?』

あー確かにそうだな!

B『・・・まじすか』

A『え?知り合い?』

なんだよ!知り合いかよ!礼儀ができた兄ちゃんだったから覚えていたよ。

B『そいつ、今行方不明なんすよ・・・』

え?

A『なんで?』

B『こっちが聞きたいっすよ!チンピラみたいなことや金貸しやってたから、命狙われたかもしれないんすよね・・・』

じゃ、おばさんも行方不明になったのかもな(笑)

B『笑い事じゃないっすよ!金を持ち逃げしたって、組から追われてるんすから。』

A『もう消されたんじゃない?』

B『いや、それなら俺の耳にも入るはずだから・・・』

ちなみにな、おばさんは金持ちそうなパーマかけていかにも成金!的な雰囲気出してたよ。誰かの知り合いかもな。

B『・・・その人って、歯に金歯入ってました?』

おー!左に入ってたぞ!

B『小太りで、紫の服を着てました?』

う・・・うん。知り合いか?

B『最近、その人の噂が流れていたんで・・・』

A『噂?』

なんだそりゃ?

B『よく当たる占い師で有名な、おばちゃんがそんな風貌してたはず』

A『あ、商店街の入口に小さなテント出してたババア!』

知ってんのか?

A『知ってるも何も最近彼女と占ってもらいましたよ!そしたら、死相が出てる!なんて言い出したからムカついて金を払わずに帰ったすよ!』

店長『お待たせ!から揚げね!』

A『すいません。』

店長『占い師の、ばあさんなら今日の朝早くに首と腕が見つかったそうだな。気の毒にな~』

AB『えっ!まじすか!』

店長『あれ、知らなかったの?その話してるかと思ったけど・・わりいわりい』

店長さん、バラバラ死体ってことすか?

店長『というより事件じゃなくて事故みたいだよ。』

B『事故?』

店長『そこの山でトラックが、そのばあさんをひいたらしいんだけど首と腕しか見つかってないらしいよ。トラックは崖から落ちたみたいだし』

A『あの山を歩いてたんすか?登山じゃあるまいし(笑)あそこ歩く人なんて滅多にいないでしょ?』

なんで歩いてたのかな?

A『死相出てたの占ったババア本人だったんだ・・』

つーことは、この指輪を所持した奴は何かしらの災いがあるってことじゃね?

B『そうなりますよね?先輩やばくないっすか?』

なんか不安になってきた。

A『あ、あと先輩以外に指輪を持ってきた若い女性ってどんな感じの人?そいつも行方不明か死んでたら100%の災いの指輪っすよ・・』

そうなるな。指輪外しとこ。

B『若い女の子が生きてたとして、どう入手したんすかね?』

占いのばあさんは商店街で拾ったんだろ?でも、確かじゃないからな。

B『まず、女の子を探すべきじゃないっすか?』

そうだな・・・その女の子、細くて可愛い女の子だった。それくらいしか覚えてない。

A『情報なさすぎっすよ!俺の彼女だったらどうするんすか!』

彼女の写メある?

A『ありますけど・・・なんか緊張するわ。はい、どうぞ。』

・・・違うな。

A『はぁ!無茶苦茶緊張した!』

B『ほかに特徴ってなかったんすか?』

ピアス。

ピアスの数が多かった。

俺さ、店以外のどこかで会ったことあるかもしれない。

A『記憶にないんすか?』

覚えてないんだよね。

B『他に特徴はないんすか?』

あ、英語の発音が良かったから英語ができる女の子だと思うんだけどな・・・

B『それ、俺の妹じゃないすか?』

あ!そうだ!どっかで会った気がしてたのはそれか!

B『やべー連絡しなきゃ!ちと店の外に出ますね。』

A『俺も、後輩に連絡して妹探すよう言うわ!』

二人とも行ってしまったか・・・店長すみません!ここ会計して下さい!

店長『いつも、ありがとうございますね』

店長『お支払いは結構です。いつも、いい肉を頂いてますので・・・』

じゃ、また仕入れたら連絡するわ。唐揚げうまかったよ。

あれは誰の肉?

END

怖い話投稿:ホラーテラー Foxさん  

Concrete
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