友人の医者とその恩師から聞いた実話。
救急患者としてその女性が運ばれてきた。
勤務先で原因不明の腹痛を訴えており。
救急車が駆けつけるより前から意識不明。
女性の顔は吹き出物が酷く、日焼けではない色黒であったそうだ。
担当医となった恩師さんは直感的に排便障害の可能性も考慮にいれて検査。
結果、大量の便が腹につまっていることを確認。
その検査の最中に患者は意識を取り戻していた。
恩師さんは出来る限り医療費を患者にとって安くすることをモットーとしていて。
この検査の最中に排便機能自体には障害はみあたらなかったこともあり。
患者にはトイレにいくように指示した。
女性はしばらくトイレにこもり、出てきた時には便してきたと言った。
このときは患者に配慮してトイレ内から医療従事者を遠ざけていた。
かるい糞臭もしていたので、恩師さんは安心した。
しかしこの女性またも院内で激痛を訴えて失神。
再度検査を行ってみると便が減っていない。
排便の機能に障害がないのなら、精神的な障害だと理解した。
この女性が闘病に費やした年月が九年近く。
定期的に病院にかかっていたにもかかわらず、大量の便を常にためこんでいて、検査機器が彼女の別の疾患を見つけることが出来なかった。
彼女は大腸癌で死去した。
恩師さんはこれがどうしても無念でならず。
ご遺族に協力を仰いでどうしてこうまで便を嫌がったのかを調査した。
その結果原因を完全に特定した。
心因性の排便嫌悪であることはとうにわかっていた。
その原因こそが小学校時代の排泄にまつわるイジメ。
彼女の学年を担当していた教諭のなかにK教諭というものがおり。
戦国時代の寓話である、大事なことを教えられているときは便を垂れ流してもよい、というのを妄信していた。
彼は自分の担当するクラスにこれを強制していた。
彼は授業中のトイレ離席を許さず。
その結果としてうんちをもらす子供が多発した。
そうした子供は当然それを原因にいじめられるようになった。
この教師が担当していたクラスだけにとどまらず。
担当教科で教えられたことのある生徒一万人弱を対象に追跡調査をしたところ。
有効回答数千ちょっとのうち実に九百五十人が便秘以上の排泄機能障害に苦しんでいることがわかった。
この調査結果を添えて、もういちど調査をおこなうと、こんどの回答は二千人規模で得られうち千七百人が便秘以上の排泄障害をわずらっていることがわかった。
K教諭は便を漏らした生徒を休み時間になるまで解放しなかったらしい。
ここから先は俺の考えになるが。
休み時間になるとたくさんの子供が廊下にでる。
もらさせられた子供達はその中をなきながら保健室にいくことになったと思う。
当然彼らの漏らしたことは広く流布される。
それによる二次被害も容易に想像がつく。
イジメがあったかどうかは調査したの?とたずねてみた。
すると彼もそこは知らなかったようで、確認してみるとのことだった。
後日恩師さんから直接連絡があった。
調査の中に、もらしたことによるイジメがあったか、という設問が設けていたそうなんだがはいと答えたのはほぼ二千人。
そのうち、この調査をきっかけに診療を受けにきた人物が百数十名いて。
いずれも、この恩師さんをして、投薬による排泄習慣をつけなければならなかった人数が八十人前後いた。
排便によるこういう陰湿な情景を小さい頃に見ていた女性。
排便そのものを嫌悪するようになっていったとしても自然だと思った。
いわばK教諭は間接的に殺人を行ったに等しい。
殺していない相手についても、精神的なトラウマを植えつけ、大人になってからも排泄に苦しませているその彼は不思議なことに定年まで教職にあり続けた。
恩師さんによればK教諭の人となりは実に複雑怪奇だそうだ。
武士の格言を重んじる割に、極左主義者であった。
警察組織と自衛隊について、非常に批判的であった。
喘息などの先天性疾患を持つ子供を特別扱いしていた。
(体育の授業中、そうした疾患を持つ子供に、特別にそのほかの子供の倍走らせる等していた)
金などの一字姓を持つ民族の出身者も特別扱いしていた。
(日本人姓を持つ生徒らをその生徒らに対し土下座させていた)
戦争で刀をもってアメリカ兵を斬ったことを自慢していた。
(しかし日本軍は刀を装備していなかった。
また彼の所属部隊は本土から外へでたことがなかった
それ以前に彼の年齢からして、学徒動員の範囲にすらあたらなかった)
その彼は今はとある教職員関連の団体の幹部となっているそうだ。
恩師さんは、すでに現役を引退している。
しかし彼は休息せずにいる。
K教諭の被害者の内、希望者の心理ケアを無料で行い、ライフワークだと言ってはばからない。
また、ボーイスカウト等の少年少女を対象とした活動に寄付を行い。
野外でうんちをすることをいやがる子供達のために簡易仮設トイレをこうした団体が行く先に設置させている。
偶然にも二人の老人の生き様を知ることとなった。
一人は身一つで背負える限りの人を助けて歩こうとしている。
もう一人は一体全体どうやったらここまで人に害を為せるのかというほど害してきた。
しかし彼はたくさんの人間の集う団体の幹部として名誉に浴している。
これを読んだみなさんには、どちらの老人も教師としてもらいたい。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話