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短編2
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私は流産の経験が有り、その事がキッカケで子供を産めない体質になった。

当時の私は常に気落ちした状態で、ベットから起きあがるのもトイレへ行く時だけ、食事は親が運んで来てくれたが、少量を口にするか全く食べないか。そんな毎日を過ごしていた。

病院へは行かなかったが、うつ状態だったと思う。そもそも「鬱」と言う症状が今ほど世間に広まって居ない時代だ、病院へ行こう、何て発想も無かった。

そんな生活がひと月も続くと体はやせ細り、友人も一目では私の事を気付けないだろうと思う位に人相から変わってしまった

その日の朝顔を洗う為洗面器の前に立って何となく鏡を見た。その時首の根っこ、右の鎖骨の上辺りに大きな赤い痣に似た物が出来ていた。

覚えは無かったが、さして痛みも無かった為そのままベットに戻って何時も通り、何もしない一日を過ごした

次の日の朝、痣疹が少しだけ膨らんでいた、丁度水膨れに似た状態だったと思う。

しかし相変わらず痛みは無く、放置を続けた。日を追う毎に大きくなって行く痣は拳大の瘤状になり明らかに異常であった

しかし伴うように形作られて行くのは、赤子のような可愛らしい顔のパーツ

私は流れてしまった子供が戻って来てくれたようで、嬉しくて嬉しくて。

そう思うと鬱状態からも徐々に回復し、仕事にも復帰出来る程になった。

親に見せた時、酷く心配された。その時は喜んでくれる物と信じきって居た居た分に驚いたが、それを教訓に人前では首元を隠す格好をした

明らかに膨らんで居るので不振ではあったが、姿は変わっていたと言え元気になった私の姿を見て仕事仲間達は喜んでくれた

痣が出来てから4ヶ月、子供が腹に宿って居たときと合わせて11ヶ月を過ぎた頃、瘤がズキズキと痛むようになった。そしてある日の晩の事だ、酷い激痛にその日はなかなか寝付けずにいた。瘤を撫でると痛みが和らぐような気がして、片手を首に当てたまま何度も繰り返し撫で、どうにか眠りにつくことが出来た

次の日の朝だ、洗面台に立った私は瘤の、大きな異変に気付いた。それまで眠るように穏やかな顔をしていた赤ちゃんの、目が開いていた。ちゃんと眼球もあってしっかり、鏡越しに私を見つめ返してくれたんだ

産みの痛み、とは違うのかもしれないけれど、私には本当にそう感じられて、床に膝を着いて大声で泣いた。

文字数の関係で次へと続きます、書けるまでお待ち下さい。

怖い話投稿:ホラーテラー 新太さん  

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