いや、、ほんとにあった。
暗闇に静かに佇む、家?
暗くてよくわかりませんが旅館かなにかのように見えました。
電気は一切着いておらず、間違いなく人はいないだろうと思ったその時。
「まず写真とろーで!」
パチパチと何枚か撮り、
「入ってみよーで!」
リョウは言いますが僕は嫌でした。(雰囲気出過ぎ)
「お前見てこいよ!」
固まる僕をよそにタカシは言います。
「いやいや、一緒に行こうや!」
「せっかくじゃし全員で行こう!」
結局皆で入ってみる事になり、先頭にタカシ、リョウ、僕の順でそろそろと中に向かいました。
荒れ放題の雑草に囲まれ、策は壊れ、どうやら今までもたくさん人が来ていたようでガラスは割れていたり、落書きがあったり、ゴミが落ちていたり、平気で中に入る事はできました。
明かりは月明かりのみ。
暗闇に目は慣れて来たが、足元は軋み、埃っぽいような臭いが鼻をつきます。
「結構、雰囲気あるな!」
「確かに怖ぇわ!」
「スゲェ!!」
「もぅ帰ろうや。。」
ボソボソと言いながら歩いていると2階にあがる階段を見つけました。
「あがる?」
「いや…」
「………。」
「なんじゃい!オラ!せっかくここまで来たんじゃ行くで!」
「ちょ、待ってや!」
慣れて来たのかタカシはやけに強気でズンズン進んで行きます。なんか階段をのぼるほど、すえたようなツンとした臭いがきつくなってきた。僕が階段を昇りきった時、タカシの背中が少し離れたところで立ち止まっているようでした。
暗闇の中で何かを見つめるようにして立ち止まっているようでした。
「おぃ、タカシどした…」
「戻れッッッ!!逃げぇッッ!!!」
ダダダッッ!!
突然のタカシの大声に訳もわからず我先にと階段を駆け降り、壁にぶつかりながらも外に駆け出し、車に走りました。
バン!バン!
それぞれ乗り込み、シートにもたれ、
「はぁはあ。」
「ど、どしたんな!?」
「はぁはぁ…」
本当にビビると「ギャー!」とか「うわー!」とか出ないんだなとやけに冷静に思ったのを覚えている。
「お、あ、あれ…」
その時、
建物の入口で黒い影が動いた気がしました。
ゆらり。
影は外まで出て来ました。
顔ははっきり見えませんが、髪は長く、体型は小さいながらがっしりしているというか、男だということはわかりました。
車からは10メートルほど離れています。
「なんじゃあれ!霊か!?」
「いや、2階にあがったら真っ暗い中ブツブツ聞こえてきてさ、多分、あれだと思うけど、人影みたいなんが隅っこに立っとったんよ!」
キラッ……。
「…ん?」
黒い影の手元には月明かりに反射するナイフ?包丁?が光っていました。
「マジか!?」
「やべぇって!逃げよ!早くにげよッッ!!」
「………」
タカシがエンジンをかけようとキーを回します!
『キュルルルル…』
静まり返った夜空にかからない空回りの音が響きました。
キュルル……、その時、ゆらゆらしていた黒い影がこっちを向き、刃物を振り上げ何か叫びながら走って来ました!
「うわ!やべぇ!見つかった!?」
「マジかよ!!?」
「タカシ!早よぉ!はよーせぇや!!」
「うるせぇ!クソッッ!なんでじゃ!かかれ!!」
「早く!!」
「タカシッ…!」
完璧にパニックでした。
得体の知れない人影が迫って来る!
しかも刃物を持って!
「マジかよ!」
「おいッ!!マジ急げって!!」
「たかしッ…」
ガンッッ!!
助手席の窓を包丁を握りしめたまま何度も叩き、左手でドアを開けようとガチャガチャやり、何か叫んでいる。
「おま△§○殺シ☆‡⊃∬*ガ!!」
「ヒッッ!」
情けない声を出す助手席のリョウ。
「クソッ!クソッッ!」
僕は運転席の後ろ側におり、ガタガタ震えながら何度も殴られるガラスを見ていました。
キュルル、キュルルルル……
ガンッ! ガンッッ!
凄く長い時間そうしているように感じました。
タカシはそいつをキッと睨みつけながらキーを回しています。
頼もしいと思いました。
リョウは窓から離れるように小さくなって固まっています。
その時、やつは、ぬぅっと顔を覗かせたんです!
それを見て『終わった』と思いました!
みんなそう思ったんじゃないかと思います。
覗きこんだ顔は目が片方はあらぬ方を向いてほぼ白目。
顔は赤黒いような土色。
真っ直ぐ見つめる片方の目は黒目の部分がやたら小さいんです。く、狂ってると一瞬で思いました。
口元には黄土色っぽい、歯がまばらに覗き、ヨダレをだらだら垂らしていました。
車内をゆっくり見渡し、僕たち3人の顔を確認するように見つめたあと、またガンガンやりだしました!
まさに蛇に睨まれたカエル状態!
一瞬3人とも凍り付き、じっとその顔を見つめてしまいました。
ガンガンという音にビクっとなり、タカシがキーを回します!
キュルルルル、ブオン!
「か、かかった!!」
「早よう!!行けッッ!!」
「出せッッ!!」
「くッッ!」
キュキュキュ…
ドンッッ!!
「うわッッ!!」
あまりの急発進にシートに思いきりたたき付けられた僕はそのまま小さくなって震えていました。
しばらく車は走り、気付けば、来たときと同じコンビニに付き、タカシは車を止めました。
「大丈夫。着いてきとらんよ。」
「てか、何あれ。マジびびったんじゃけど!」
「俺も。。駄目かと思った!」
「たかし車整備しとけぇよ!」
とりあえず、コーヒー買ってこよう!
そして缶コーヒーを飲みながら話した結果、あれは霊なんかではなく、マジの人間だと。
なんであんなとこにいるのかはわからんが、多分、ホームレスかなんかが寒さを凌いでいたんじゃないかと。
気付けば時計は3時半。
みなさん、肝試しで人気のないところに行くときは、幽霊以外の何かが潜んでいるかも、という事を忘れないでください。
タカシの車は未だに助手席の上や回りが傷だらけです。
気付いたのはインスタントカメラ。
カメラがない。
どうやら廃墟で落としたようです。
落ちてたら誰か使ってやってください。
長くなってすみません。
読んでいただきありがとうございました。
コメントを書いていただいた方、本当にどうもありがとうございました。
怖い話投稿:ホラーテラー ケロヨンさん
作者怖話