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中編3
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あの部屋

去年の夏、彼氏と旅行に行ったときの話です。

1泊2日だったので、旅館に着いたらすぐ海に遊びに行き、夕方旅館に帰って温泉に入り部屋で一息。

彼氏がベランダから外を眺めていたんですが、急に「なにー?」と言って私の方に振り向きました。

「なにって?何?」と答えると、「あれ?今なんか言わなかった?気のせいか。」と言うのです。

私は声をかけてなく、もちろん部屋には2人しかいないので「?気のせいだよ」ということで解決しました。

綺麗な部屋だったし別に変な感じでもなかったので気味が悪いとかはありませんでした。

夕食の時間になり、バイキングだったので食堂に行きました。

私が食べ物を取りに行ったとき、社員旅行で来ている感じのおじさんが従業員の人に

「ねぇ、あの部屋まだ使ってるの?去年ほんとヤバかったんだから~、怖かったよ~」

と言っているのを聞いてしまいました。

従業員は苦笑い。

席に戻って、彼氏にその事を言うと、「何それ。怖いなぁ。俺らの部屋じゃないといいね」なんて笑っていました。

私はさっきのことを思い出して少し嫌な予感がしたんですが、「他に部屋なんてたくさんあるし…まさかね~」で済ませました。

しかし、夜中のことです。

ドンドンッという音で目が覚めました。

何時だかわからなかったけど、まだ外は真っ暗でした。

どこから聞こえるんだろう。

と耳を澄ますと、どうやら部屋に備え付けてあるトイレから。

隣を見ると彼氏がいなかったので、彼氏がトイレに入っているんだと思いました。

ドンドンッという音はまだ聞こえます。

そのトイレは内側に開くドアなので、「押すんじゃなくて、引くんだよー」と布団の中から叫びました。

しかしまだ音は止みません。

眠くてだんだんイライラして「だからぁ、引くんだってば!」と強く言うと

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンッ

と異常にドアを叩く音がしました。

これはおかしいと怖くなり、様子も見に行けなくて布団で固まっていました。

次は

ギィー…バタン

ギィー…バタン

ギィー…バタン

と扉が開いたり閉まったりする音が聞こえてきました。

布団の隙間からトイレを見ると、トイレの中には彼氏は居らず、独りでに開いたり閉まったり繰り返してました。

少しすると部屋のドアが開き、彼氏が帰ってきて、

トイレは静かになりました。

どうやら彼氏はアイスを買いに行ってたらしく…

何故かイライラしてきて、恐い想いをしたのはお前がいないせいだ!と八つ当たり。

彼氏も「俺のせいかよ!」とぶちギレる。

一晩中大ゲンカしてました。

普段全くと言って良いほどケンカなんかしないので、後で考えると少し2人ともおかしかったと思います。

仲直りできたからよかったのですが…

私達が泊まった部屋が『あの部屋』だったのかはわかりませんが、この旅行の話はタブーになるほど嫌な思い出です。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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