たいして怖くないだろうが、体験した俺はすごく怖かったし、未だ謎が残る不思議な話。
大学生時代、俺が入っていたサークルは近くの女子大と合同で活動をしており、
入学シーズンはその女子大を訪れ、新入生の勧誘をしていた。
と言っても、新入生に声をかけたり接待するのは女子とイケメンの仕事で、俺を含む「その他の男」の仕事は専ら雑用だった。
ある日、俺は「飲み物が足りないから買ってこい」と女子に命令され、心の中で舌打ちをしながらBOX(部室みたいなもん)を出た。
この女子大はとても長い坂の上に建っており、買い出しに行くだけでもかなり面倒なのだ
イケメンどもは女の子と楽しく喋ってるだけなのに…と、若干腹を立てながら校門に向かって歩いていると、喫煙コーナーに同じサークルの友人・Mがいた。
Mは昼でも絶対に心霊スポットには近付かない超ビビりだが、ホラー映画や呪いのビデオなどには全くビビらず、むしろ笑いとばしたりする、よくわからん男だった。
俺は煙草を吸わないので、軽く手を振り通り過ぎようとしたが、Mは手招きして俺を呼んだ。
M「買い出しか?俺も行くよ」
俺「お前イケメン班やろ。連れてったら俺が怒られるわ」
苛ついていた俺は感じ悪く吐き捨てた
Mは苦笑しつつ「じゃ、これ持ってけよ」と、ジッポと煙草を1本渡してきた
俺が吸わないのは知ってるはずだ。
訝しんでいると、Mは「帰りにでも吸えよ、気分転換になるから」と笑った
労いの1本てことか。Mなりに気遣ってくれてるんやな
そう理解した俺はそれを受け取り、坂を下った
そして買い物を済ませた俺は重い袋を下げ、さっき下ったばかりの坂を上った
果てしなく続くような坂道に嫌気がさした頃、俺はある事に気づいた
大学との距離が一向に縮まらない…
おかしい、めっちゃ歩いたはずや、と時間を確認するため携帯を見たが、画面は真っ黒でいくら電源を長押しても入らない
少し不気味だったが、壊れたんだろうと思い携帯をしまい、俺はまた歩きだした
遠くに見える大学を凝視しながらひたすら歩くも、やはりその距離は変わらない
息が切れる程歩き続け、俺はその場にへたりこんだ
改めて回りを見渡すと、下校する学生もいなければ音もしない。春の陽射しが優しく俺を包むだけである
それはとても心地好く、そのまま眠ってしまい欲求にかられたが、俺はブンブンと頭を振った
寝たら二度と戻れない気がしたのだ
眠気と戦いながら、俺は必死で抜け出す方法を考えた
■シリーズ1 2
たいして怖くないだろうが、体験した俺はすごく怖かったし、未だ謎が残る不思議な話。
大学生時代、俺が入っていたサークルは近くの女子大と合同で活動をしており、
入学シーズンはその女子大を訪れ、新入生の勧誘をしていた。
と言っても、新入生に声をかけたり接待するのは女子とイケメンの仕事で、俺を含む「その他の男」の仕事は専ら雑用だった。
ある日、俺は「飲み物が足りないから買ってこい」と女子に命令され、心の中で舌打ちをしながらBOX(部室みたいなもん)を出た。
この女子大はとても長い坂の上に建っており、買い出しに行くだけでもかなり面倒なのだ
イケメンどもは女の子と楽しく喋ってるだけなのに…と、若干腹を立てながら校門に向かって歩いていると、喫煙コーナーに同じサークルの友人・Mがいた。
Mは昼でも絶対に心霊スポットには近付かない超ビビりだが、ホラー映画や呪いのビデオなどには全くビビらず、むしろ笑いとばしたりする、よくわからん男だった。
俺は煙草を吸わないので、軽く手を振り通り過ぎようとしたが、Mは手招きして俺を呼んだ。
M「買い出しか?俺も行くよ」
俺「お前イケメン班やろ。連れてったら俺が怒られるわ」
苛ついていた俺は感じ悪く吐き捨てた
Mは苦笑しつつ「じゃ、これ持ってけよ」と、ジッポと煙草を1本渡してきた
俺が吸わないのは知ってるはずだ。
訝しんでいると、Mは「帰りにでも吸えよ、気分転換になるから」と笑った
労いの1本てことか。Mなりに気遣ってくれてるんやな
そう理解した俺はそれを受け取り、坂を下った
そして買い物を済ませた俺は重い袋を下げ、さっき下ったばかりの坂を上った
果てしなく続くような坂道に嫌気がさした頃、俺はある事に気づいた
大学との距離が一向に縮まらない…
おかしい、めっちゃ歩いたはずや、と時間を確認するため携帯を見たが、画面は真っ黒でいくら電源を長押しても入らない
少し不気味だったが、壊れたんだろうと思い携帯をしまい、俺はまた歩きだした
遠くに見える大学を凝視しながらひたすら歩くも、やはりその距離は変わらない
息が切れる程歩き続け、俺はその場にへたりこんだ
改めて回りを見渡すと、下校する学生もいなければ音もしない。春の陽射しが優しく俺を包むだけである
それはとても心地好く、そのまま眠ってしまい欲求にかられたが、俺はブンブンと頭を振った
寝たら二度と戻れない気がしたのだ
眠気と戦いながら、俺は必死で抜け出す方法を考えた
続く
■シリーズ1 2
怖い話投稿:ホラーテラー よしはるさん
作者怖話