最近のカーナビの性能は優秀だ。
行き先を打ち込むだけでどこにでも案内してくれる。
この前なんて、
【良く出るパチンコ屋】
と入れたら、本当に良く玉が出ているパチンコ屋に案内してくれた。
まあ…負けたけど…
【夜景が綺麗な場所】
と打ち込めば、この街で一番、夜景な綺麗な場所に案内してくれるし、
【旨いラーメン屋】
と打ち込めば、希望通りの店に案内してくれる。
技術の進歩とはすごいもんだ。
俺はこの優秀なカーナビの性能を使い、彼女とのデートプランをたてる事にした。
明日は彼女との初デート。
失敗は許されないからだ。
しかし、一体どこへ行けばいいのか全く検討がつかない…
デートなんだから、とにかく楽しい所がいいんだろう。
俺はカーナビに、こう打ち込んだ。
【めちゃくちゃ楽しい所】
俺はドキドキしながらカーナビの案内を待った。
だが、カーナビからなかなか返答は帰ってこなかった。
やはり、こんな抽象的なキーワードじゃ無理かと諦めかけていると、行きなりカーナビから案内の声が聞こえてきた。
(案内を開始します。)
おお!
さすがは優秀なカーナビ。
どんな要望にも答えてくれる。
俺はカーナビの声に従い車を走らせた。
(次の信号を右です。)
(次の信号を左です)
一体どこへ連れていってくれるんだろう。
俺は期待に胸を膨らませていた。
ある交差点を通り過ぎようとした時、
普段は余裕をもって案内してくれているカーナビが、いきなり言った。
(この交差点を右です! 早く!)
俺は案内にあわせ、右に急ハンドルをきった。
その瞬間…
ドオン!
と言う鈍い音が響いた。
直進してきた大型トラックとぶつかったようだ…
薄れゆく意識の中で、俺はカーナビの案内の声を聞いていた。
(まもなく目的地の天国です。案内を終了します。)
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話