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短編2
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タイムリミット

昔から境界を越えやすい子供だった。

エレベーター、駅のホーム、町の入口。

稀に私がそこに足を踏み入れると「こちら側」では無い場所へ入ってしまう。

誰一人いない街、気持ち悪いくらい音のない町…

大抵私はそこで約半日以内に気を失うか死亡するか戻される。(理由は後述)

こちら側に戻れた時、ほぼ時間は経っておらず、6時間あちら側でさまよっていたのにこちら側では5分程度しか経っていない、と言ったような感じだ。

私があちら側から戻ってこれる条件(方法?)は3つある。

一つ。気を失う。

あちら側に行って大抵約2時間以上経つといきなり立ち眩みがして視界が暗転。目を開けたらこちら側に戻っている。

二つ。死亡する。

あちら側で自殺するとこちら側に戻る。

そして三つ。戻される。

私が行くあちら側には人は居ない。

しかしあちら側で彷徨い、半日ほど途方に暮れているとヒトの形をした生き物に戻される。

もしくはこちらからその人を探して接触しても戻してくれる。

喋る言葉はわかるし見た目もその辺にいる人間とは変わらない。

でも…あんな場所にいる奴が人間である訳ないに決まっている。

さて、私は幼い頃からそうした境界を越えてしまい、あちら側に行ってしまっていた。

しかし最近では境界を越えた瞬間にカッターナイフで首を切り、自殺をしてはこちらへ戻ってくる。

何故かと言えば…子供の頃は全く気づかなかったが…私は…あちら側の時間の分だけ年を取っている。

あちら側での滞在が長いほど死に近づくからだ。

ちなみに私は19才だ。

しかし医者は私の体を27才のそれだと言う。

とうとう私はこちら側ではもう生きられないと絶望した。

誰にも話せないし信じてもくれない。

何年もあちら側で年を取っていたなんて。

そして私は自殺をした。

いつもあちら側で使うカッターで、慣れた手付きで首を切った。

目を開けたらまたいつものあちら側。

目の前にはあちら側にいるヒト。

私はソレに事情を話した。ここがあの世なら戻さないでと懇願していたら意識が飛んだ。

またこちら側に戻されたのだ。

私は病院で目を覚ました。

鏡に映る容姿は疲れきった27才のソレ。

私は絶望したが一つ変わった事がある。

この間、あちら側に行ったら1分経たずに目眩で戻った。

しかし、こちら側に戻った時、私がいた日付から丸一日経過しているのだ。

その間私は行方不明になっていたらしい。

怖い話投稿:ホラーテラー 黒乃さん  

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こちら側とあちら側の条件が入れ替わってるとかですかね?
最終的にあちら側の世界が表になるみたいな
まぁ本人が望んでる事だから特に問題なさそうだけど

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わからない。
どういう事??

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