さっそくですが、続きです
前のクラスの合唱が終了。
私達は壇上に上がり、それぞれのポジションに着き、かおちゃんのピアノに合わせ一礼。
最初は課題曲、【贈る言葉】。
この曲ではエレキが無い為コーラス参加でしたが、私は歌丸のギターで晃と弾き始めました。
晃に助けてもらいながら何とか【贈る言葉】をこなし、心の中でホッとしてた。
弾き終わってみんなが一斉に私を見つめ、
「良くやった!」
と目で言っているのが判りました。
さぁ、自由曲の【YaYa】に移ります。
出だしはギターからなので指揮者がこちら見つつ、タクトを上げた時、
「あれ?出だし、どうだったっけ?」
頭の中が真っ白になり、脳が指先に指示出来ないでいました。
指揮者も私を見つめるだけでタクトを振りませんでした。
その時でした。
訳が解らないまま、指揮者はニコリと頷き、タクトを振ってしまいました。
「何やってんだよ!まだ思い出してねぇぞ!」
そう思った瞬間、私は晃と一緒にギターを弾いていました。
テンテンテンテンテンテンテンテン
それに合わせてピアノ、キーボードも音を奏で始め皆の歌声が聞こえて来ました。
間奏のエレキはきちんとこなし、再びアコギに持ち変え最後の伴奏に備え・・・ラスト・・・テンテンテンテンテンテンテン・テン・テレン。
割れんばかりの拍手!
あんなに気持ちの良い拍手はもう、味わえ無いでしょう。
壇上から下りて皆で抱き合いお互いを讃え合いました。
結果は・・・。
準優勝でした。
全てが終わり、教室に戻りさっきの出だしで躊躇した事を話すとみんなは、
「知ってたよ!焦った顔してたもん!」
バレてた。
その時、横で一緒にギターを弾いていた晃が、
「お前があの時、歌丸に見えたんだよ。最初、躊躇していたの解ったんだ。ある瞬間から横に歌丸がいると思えて、指揮者の緒川に目で合図したらタクトを振り始めたら案の定、ちゃんと弾いてくれた!」
するとピアノのかおちゃんも、キーボードのアッコまでも、
「うん!確かに歌丸に見えたよ!」
みんな、声を揃えてそんな事を言うんです。
でも実際に私もあの時点では完全に思い出してませんでした。
自分の意識とは異なる行動。
ガラガラっとドアが開き、先生が準優勝の盾と賞状を持って帰って来ました。
皆を座らせ衝撃な事を言いました・・・。
「先程、連絡が入り・・・歌丸が・・・亡くなりました。」
時間が止まりました。
そのうちに女生徒の啜り泣く声。
先生も目を真っ赤に涙をこらえながら、
「歌丸は学校に来る途中、〇〇の交差点で・・・信号無視でね・・・ダンプが突っ込んで・・・。歌丸の他にも被害者は沢山・・・いたそうです・・・。亡くなったのは歌丸を合わせて3人。・・・意識不明が2人・・・その他・・・5人・・。」
先生はその後は言葉にならず、泣いてました。
クラス全員が泣いてました。
そして、お葬式の日。
クラス全員で【YaYa】を歌丸に捧げ、歌いました。
準優勝ですが、みんなで取った賞状を棺に入れてもらいました。
そして・・・卒業式・・。
式終了後、卒業アルバムと一緒に合唱コンクールの時の写真も展示されました。
演奏時の全体写真を見た時、全員で驚きました。
私と晃の間に人影が写っていました。
それを見た先生が、
「歌丸もあの時、みんなと一緒だった証拠だね。」
今でも、我々の年齢で5と0が付く年には同窓会をしています。
その時も最後はやはり、みんなで歌います。
YaYa〜あの時代(とき)を忘れない
最後まで読んで頂き、有り難うございました。
文才が無い為、考えながら投稿したのでわかりにくく申し訳ございません。
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作者怖話