※すべて仮名です
俺の通っている高校の周辺に変質者が出るという話があった。どうやら夕暮れにひとりで帰る女子を襲っているらしい。さすがに担任は具体的になにをされるかは言わなかったけど、なにかしら猥褻なことをされてしまうのは分かって、俺は数人の友達とはしゃいでいた。
まあ、俺も帰るときはひとりなんだが、男子である俺には関係ないと、クラスの美少女が不審者に襲われる図を想像しては興奮して嬌声をあげていた。
そんな俺たちに女子は白い目で見てきたが逆にそれが快感でもあった←
んで、そんな俺が体験しためちゃめちゃ恐かった話。
ここまで読んでくれた人には悪いが心霊系ではない。
スルーしてくれ。
俺は吹奏楽部なんだが、なかなかの強豪校で練習は運動部並みにハード。だから帰宅時間も運動部並みに遅い。しかも、自転車通学は俺だけだから当然ひとり。
(まあ、正確に言えば俺以外にも自転車通学はいるんだが、方面が違う奴が大多数で、同じ奴はなんとカップル。さすがに俺でもカップルと一緒に帰ろうとは思わない…)
まあ、いつも通り、帰っていた訳なんだが、その日はちょうど見たいTVがあって急いで帰りたかったから、近道を通ることにした。
その近道ってのが教会の前を通るんだが、俺はその教会のことをちょっと薄気味悪いな、って思ってた。
まあ、そんなことも言ってられない位急いでて、いつもは避けてたその道を通ったんだ。
そしたら、教会の前に箒を持ったおっさんが立ってた。朝の変質者の話を思い出して俺は正直びびったが、
すぐに教会の前を掃除してる人だと思い直して自転車のスピードをあげたんだ。したらいきなりそのおっさんが俺の前に飛び出してきてさ、あやうく轢きかけた。まあ、すんでのところで止まったからよかったけど、俺はもう心臓バクバク。
どっと汗が吹き出た。
恐る恐る顔をあげると、仁王立ちしたおっさんがにっこり笑ってさ、
「こんばんは!!!」
挨拶されてあんなに戦慄を覚えたのは初めての経験だった。
俺は訳もわからずただがむしゃらに自転車を走らせて家に逃げ帰った。その時ほど、俺より先に彼女作って毎日一緒に帰ってる親友のコウタを恨んだことはない。(コウタが告白するまで
3人で一緒に帰ってた)
その日はもう飯も食わず、風呂にも入らず、即寝た。
んで、次の日目覚めたら、かなり落ち着いてて、睡眠の大切さを身に染みて感じた……
ちょうど土曜日でゆっくり身体を休めたいところなのだが、来週から始まるテストのことを考えるとそうもいかないorz
春休み中にも関わらずテストを課す学校を恨みながら、俺は勉強するために図書館へと向かった。
図書館へと向かう道のりも自転車だったため、俺はかなりビクついていたが、やはり俺と同じく、テスト勉強のために図書館へと自転車を飛ばす学生がたくさんいて俺はホッとした。
図書館では音楽を聴きながら落ち着いて勉強に集中することが出来た。また、周りも学生がたくさんいて、かなり安心できた。
3時間くらい勉強して、周りに気遣いながら静かに伸びをした。そして何気なく後ろを振り向いたらあの男がにやつきながら立ってた。
「お勉強かい?」
俺は図書館だってことも忘れて大声を出しながらその場から逃げ去った。そのまま男子トイレに駆け込み、個室に入ったところで後悔した。個室から出たらあの男がいるかもしれないという可能性をすっかり失念していた。これではまさに袋小路。その可能性がちらつく限り、個室から出ることなんて出来やしない。俺は観念して閉館時間まで個室で粘ることに決めた。
その間、人の気配がするたびに俺は震えた。ずっとガタガタと身体の震えが止まらず、声を出さずに泣いた。気付いたら漏らしていた。最悪だった。
そんなこんなしているうちに、閉館時間を知らせるアナウンスで目が覚めた。どうやら泣き疲れて眠ってしまったらしい。俺はとうとう覚悟を決めて個室から出ることにした。このまま、夜ひとりで個室で過ごすなんてごめんだし、夜に個室から出たときあの男と遭遇するより、まだ夕暮れどきに遭遇する方がまだマシだ。
俺はゆっくりと深呼吸してから、素早くドアを開けた。あの男が立っていた。
そのことよりも俺は男が口にした言葉に愕然とした。
「ケイスケくん?」
俺の名前だ。俺はあまりの衝撃に固まってしまい、男がゆっくりと手を伸ばしてくるのに抵抗することも出来なかった。すると
べろり。耳を舐められた。
さすがに俺は男を突き飛ばして家に逃げ帰った。自転車に乗ってる暇などなく、走って走って走った。家に着くと過呼吸になっていた。俺は兄貴に泣き付いて一緒に寝てもらった。
そんなことがあったのが昨日。今日、恐怖のあまり家から出られない俺に代わって兄貴が警察と学校に行ってくれているが、いま、俺はとにかく、担任から変質者の話を聞いた時に女子をいやらしい目付きで眺めていた自分を殴りたくて仕方がない。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話