看護師として、3交替勤務をしていた頃。
準夜の部屋回りが終わり、休憩に入ったのは消灯時間をかなり過ぎた頃でした。雑談をしながら、束の間の気分転換。どういう流れか、3人体制の勤務の中、一番若手の看護師が、
「私、守護霊が見えるんです。」
かなり朗らかに話出した。
「へ~、じゃあ私の守護霊 見える?」
弁当を食べながら、私もかなり朗らかに聞いてみた。
「いいですよぉ。えーと…。」
彼女の視線は、私の斜め後方。微笑んだまま集中、そして
「…お婆さんが 見えます…。」
…オッと、ほんとに見えるのか?
「先輩のこと、とても心配されてます…。」
…あっ…
私には、思い当たる人がいました。私が2才の時、ある事情で夜逃げの様に田舎を出た我が家。子供が少ない過疎の村で、私を可愛がり、死ぬまで心配してくれたいた、隣りのお婆ちゃん。
墓参りに帰る度に 遠縁のその人のお墓にも家族で参っている人。
…ああ、そうなんだあ。
この時点で、私の涙腺全開。箸を置き、涙ウルウル。
「ウンウン。多分あの人だと思う…。」
「あっ、こっちに来ます。」
!!…守護霊って、歩くのか!?
若手ちゃんの視線、ゆっくり移動。
「あ、私の横に来ました。何か伝えたいみたいです。」
…喋るのか!?
私&もう一人の看護師凝固凝視。
「…私、見えるんですけど…。」
…見えるけど?
プルルル~!!!
「ひゅ!っっっ。」
「ひ!っっっ。」
夜の詰所の大声はご法度。悲鳴を押し殺し、ナースコールの病室へ。
私の守護霊様は、何かを伝えたかった様ですが、若手ちゃんは聞こえない人でした。
なんとも怖嬉しい夜でした。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話