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中編4
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この世の地獄絵図。

先日、配送先で停電になり、作業が一時中止になった。

運転手や作業員は焚き火を囲み一服。

そのうち皆でダベり始めました。

いつのまにかDVDや映画の話になって一人が、

「この間、沈まぬ太陽を見ていろいろ考えさせられたね!」

その話題作から飛行機事故の話に変わるのに時間はかからなかった。

そこに地方から来ている運転手が、

「俺、昔自衛隊にいてよ、あの現場に行ったんだ。」

そこからは焚き火を囲んでる人間はその人の話に集中して、耳を傾けた。

「現場に行くだけで疲労困憊。うだる暑さと異様な空気は忘れない。

現場に着いてから何人かに分かれ探索が開始。俺は班長と同期の奴2人の計4人でやっていた。

辺り一帯、油や焦げた匂い。腐った肉の匂い。後にも先にもあれ程の匂いは嗅いだ事が無い。

飛行機の残骸や破片に血痕や髪の毛なら未だしも肉片や手足がくっついてたりしてた。

ある所では椅子にしっかり座って、踏ん張ってたんだろうな。肘掛の先端を鷲掴みにして硬直してんのよ。

でも、頭が無いのよ。

捜したけど見つけてやる事が出来なかった。

それと生存者確認は声を出すのが決まりなのよ。

俺が機体の破片から腕が出ていてそれが動いたから、走り寄って腕を掴むと同時に、生存者!発見!

上げたら・・・

腕だけだったよ。

動いたのはカラスが食ってたからだった。

でも、中には虫の息でも生きてた人は何人かいたらしいんだが、あの状況の上にあの暑さ。自衛隊や警察官でさえ倒れる奴がいたんだから、弱った人間が助かるなんて奇跡のようなモンだよ。」

話を聞いていても頭の中で情景が浮かぶようでした。

テレビの中でしか見た事が無いがその現状が解る気がした。

話を進めて行くと、

「あの助かった女の子、実はうちの隊員が見つけたのよ。

何故、あの状況で見つける事が出来たのか?

そいつが不思議な事を言ったのよ・・・。」

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「その隊員は班は違うが一期下の者。

同じ班の同僚に聞くと、ちょっと鈍臭く、おとなしい奴。あえて良い所を挙げるなら、よく言う事を聞き反抗しない、無口な男。

こんな返答しか返って来ない。言うなれば、パシリだ。

しかしこの隊員、不思議な力を持っているらしく、TVの天気予報より良く当てるし、寮の晩御飯メニューを当てると同期の仲じゃ重宝がられてたらしい。

多少の霊感もあり、富士山の演習場で見たとか言ってたよ。

行くまでも大変なので脱落者もいたそうだ。その隊員はいつもと違い何かを感じていたらしい。少し、テンションが上がっているみたいでおかしかった。

状況もそうだが行く途中から同じ班の仲間には南側の尾根だ!としつこく言ってたらしい。

しかし、現場に着くと各班での行動が義務付け。

凄く悩んでいたそうだ。

最初のうちは、班での行動をしていたが気が付くと姿が見え無くなった。

現場の責任者らしき人が拡声器で休憩時間を知らせてくれた時はその隊員は居なく、班長が捜してた。

二次災害を絶対にしては不味いので班全員で捜そうと尾根に向かう途中で、

「生存者!発見しました!」

その隊員の声が聞こえ、その場所まで走った。その声は、もうおとなしくて鈍臭い隊員の声では無かったそうだ。

その後すぐに、隊長始め、現場責任者に医療関係者が駆け付け、皆さんが知ってる女の子がヘリコプターで運ばれた場面になるってわけ。」

何故、その隊員は女の子を捜し当てたのか?

聞いたら・・・

信じてくれないと思うがと前置きをした後に、現場に着いた時から、助けてくれ!早く此処から出してくれ!水をくれ!

いろんな声が聞こえたそうです。それが生きている人間の声なのか、死んでいる仏さんの声なのか解らなくなって気が狂いそうだったらしく、人の話は覚えて無かったそうだ。

なんだか判らない声に翻弄されてるうちに何処からか今までと違う声が聞こえたそうです。

こっち!こっち!、早く来てよ、此処に居るよ!

ここまで聞こえた声は自分自身の欲望の声。に対し、今度聞こえる声は何かを知らせたい!と言う声に気が付いた。

声がだんだん近くなったが、方角が判らなかったその時、足元に居た仏さんが腕を伸ばし、指を差していたそうです。歩いて行くたびにいろんな所に居る仏さんが腕を伸ばしていたそうです。

仏さんの差す方角に沿って進むと、南側の尾根に女の子を発見して、いつもおとなしい男が大声で発見を叫んだそうです。

その隊員は周りの仏さんに合掌し、

「必ず、家族のもとに皆様をお連れ致します。本当に有り難うございました。」

そう決心したそうです。

後日、その隊員は無断行動を取ったとして始末書を書いた。しかし、それ以上のお褒めがあったのは言うまでもありません。

「事故処理が大体終了した後、何人か辞めたよ。まっ!俺もその中の一人だけどな!」

その隊員もしばらくして辞めたそうだ。

最後にその運転手はこう言って話を終わらせた。

「あの情景は絶対に忘れられない、いや、忘れたらいけない。現場にいた奴は皆、思っているよ!

その隊員、仏さんの話は夢や幻とか言われるが、絶対にあれは人を助けたいと思う気持ちがそうさせただと確信してる。と言ってたよ。

俺も助かったのは見てたからそうかなと思うよ。

でも、あんな現場は二度と見たくはない。

あれはこの世の地獄絵図のようだったよ。」

終了と同時に倉庫周辺の電気が付き始め、仕事を再開した。

最後まで読んで頂いた方々有り難うございましたm(__)m

怖い話投稿:ホラーテラー 濱っ子とうちゃんさん  

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