先日、友人から聞いた話しです。※心霊系ではありませんが、怖かったので投稿します。
以下文章は『私』(友人)の体験談です。
いまは結婚し2人の子供にも恵まれ、平穏に暮らしていますが、そんな私が今でもトラウマになってしまった体験です。
数年前、私は当時働いていた会社の同僚とルームシェアをして暮らしていました。
暮らし始めて知ったことでしたが、同僚は夜遊び好きで平日、週末と関わらずクラブに通いつめていました。
私は同僚がルールさえ守ってくれれば良かったのですが、同僚は連日、連夜の夜遊びに加え、私に無断で部屋へ友人を招き入れる(男性含)。
早朝の朝帰りで部屋のドアを叩きながら大声出す等、ご近所から苦情が来る始末…。
何度なく同僚と話し合い改善を試みましたが、すべて徒労に終わりました。
気がつけば約1年が経過し、この頃になると同僚も部屋には寄り付かず、週に1、2日ほどしか帰って来ませんでした。
※彼氏の家に入り浸っていたようです。
私がルームシェアを解消したいと考えていた矢先、同僚のほうから解消したいと言って来ました。
もちろん私は快諾しました。
それから2週間ほどして同僚は荷物や家財道具をまとめ、早々と出て行きました。
同僚曰く『彼氏と同棲する、残りの荷物はまた2日後取りに来るから』とだけ言い残して…。
私は部屋の退去手続きを同僚から任されており、その2日後には鍵も返却されるはずだったのです。
※この頃私は転職していました。
その同僚がまた来ると言っていた2日後、忘れもしない2/18。
私は朝から自分の引っ越し準備に追われていました。
夕方になっても同僚からの連絡はなく、(あぁ、今日はもう来る気はないだろうな…)とガッカリしたものの、退去する期日は迫っていた為、自分の部屋ばかりでなくキッチンやトイレ、お風呂場に至るまで入念に掃除をしました。
気づけば外は暗くなっていました。
朝から引っ越し準備と掃除に追われた私は(続きはまた明日しよう)と思い、その日はコンビニ弁当を食べ、お風呂はシャワーだけで済まし、少しだけ衣類を整理してテレビを見ながら寛いでいました。
その時突然電話が鳴り、私は一瞬ビクッとしました。
電話は2コール鳴り1度切れ、また鳴ったのでごく近しい人からの電話だと分かり、(あぁ親か、同僚だろう)と思い電話に出ました。※当時私はケータイを持っておらず部屋に電話を引いていました
電話に出るとやはり同僚からでした。
同僚は『今夜、行けるけど…遅くなると思うから玄関のチェーンは外して置いて欲しい』と言うのです。
私は内心(最後なのにろくに挨拶もせず出て行くのか…)と怒りを覚えましたが、これも最後だと思い『わかった、部屋の鍵は忘れずに新聞受けから中に入れてね』とだけ伝え電話を切ったのです…。
私は同僚が来るまで起きているつもりでしたが、疲れもあり、そのうち眠くなってきたので寝ることにしました。
その日の深夜のことです…
私はふと人の気配で目が覚めました…
しかし、(きっと同僚が部屋にいるんだろう…)と思い直し、寝返りを打とうした瞬間…!
私の部屋の隅…クローゼットの前に黒い人影が…ちょうど体育座りのような形で座っているのが見えたのです。
しかもそのシルエットは男性のようでした…。
私は恐る恐るそのまま寝返りを打ち、その黒い人影に背を向けて寝ているふりをしました…。
…背筋が凍るとはまさにこのこと…。
ジワリとした冷や汗が全身から吹き出していました…。
私の背筋にはその黒い人影からジーッとこちらを見つめる視線…。
(…どうしよう…)
私は泣き出したいのを必死でこらえ、様子を伺っていました。
…すると微かにですが、背後から人の息遣い…部屋が寒いのか、しきりに体を擦るときに聞く衣擦れのような音までハッキリと聞こえたのです…。
私は(きっと殺される!!このままでいたら絶対に危ない!!)
と思い、覚悟を決めました…。
私の部屋はクローゼット側にドアがある為、そこから逃げるのは危険だと判断、私が寝ているベッド側のベランダから外へ逃げよう!!と決心したのです…。
私の部屋は2階でしたが、幸い1階には小さな中庭があり、花壇がありました。上手く花壇に着地出来れば…あとはひたすら逃げるだけ!駅前まで走れば交番もある…!
少なくとも背後の黒い人影に襲われて殺されるくらいなら危険を冒してでも飛び降りたほうがいい!!と心に決めたのです…。
私はおもむろに布団をガバッと跳ねのけベランダへ一直線!思わず『ウワァーッ!!!』と大声で叫びながらベランダから飛び降りようとした瞬間!!
…背後の黒い人影が『ヒ…ヒィヤァーッ』と叫びながら部屋から出て行くではありませんか!
その黒い人影は部屋のドアを開けドタドタッと出ていき、玄関の扉をガチャガチャッと激しく開けたかと思うとバタンッと閉め、後は廊下を走るダダダダッという足音と共に居なくなっていたのです…。
私は数分間ベランダにつっ立ったまま、放心状態でした。
ふと我に返り、自分の部屋を見渡すと黒い人影の気配は消えていました…。
私は慌てて部屋へ戻り、ベランダの鍵はもちろん玄関の鍵とチェーンを閉め、キッチンの窓やトイレの窓、お風呂場や同僚の部屋に至るまで鍵を確認し、電気を点けてすべて確認した上でやっと(助かったんだ…。)と心の底から安堵し、あとからあとから涙が溢れていました…。
…私は暫く泣いたあとで…思い出したのです…。
時間は少し遡りますが、同僚からの電話のあと、1時間ほど経った頃にかかってきた電話のことを……。
そのとき私はもう既に寝ていましたが、やはりその深夜の電話も2コール鳴り1度切れて、再び鳴ったのです…私は寝呆けながらも電話に出ました…。
同僚からだと思っていたから…しかし予想に反し、相手は同僚の友人と名乗る男性からだったのです…。聞けばその男性は『夜遊びをしていて終電が無くなってしまった、いま近くにいるので朝まで部屋に居させて欲しい…』と。
私は『たとえ同僚の友人だとしても、部屋に入れることは出来ない。他を当たって下さい』と断りました。当然です。
私には同僚の男友達を部屋に入れてあげる理由はありません…
そのことを思い出したのです…。
…そして、長い夜が明けた頃、私は同僚とその男友達に対する疑惑は確信に変わりました…。
私は玄関を開け、外側から鍵穴を確認しました…。
やはり鍵穴には傷ひとつなく、無理やりこじ開けようとした形跡はありません…。
部屋の中の鍵も完全に閉められており、外部から無理やり押し入った形跡はどこにも見当たらないのです…。
深夜の電話だってそうです…なぜあの男友達は私の電話番号や、私が電話に出るときの約束ごと知っていたのか…。
理由はひとつ。
…同僚が協力していたに違いないのです…
私には何ひとつ落ち度はなかったのです…。
ある一点を除いては…そう見知らぬ男性から電話がかかってきたというのに…私は同僚との約束を守り、チェーンをかけずにいたこと…。
いまでも悔やまれてなりません…。
やがて、早朝だというのに電話が鳴りました…。
2コール鳴らしてから、再度かけ直すというあのお約束で…。
私は電話に出ました。
私『………はい……』
同僚『…あっ!…あたし…あの…昨日は行けなくてごめんね!… 』
私『……………』
同僚『…あの!…また電話するから…じゃ、じゃあね…』
とだけ言って電話は切れました…。
それは、明らかに私が部屋にいるかどうか、もしくは私が生きているかどうかを確かめる為の電話だったのです…。
なぜなら、電話をしている同僚のそばで聞いていたであろう…もう1人の息遣いや気配が伝わってきたのだから…。
あの男友達は私がベランダから飛び降り、大ケガをしたんじゃないか、または最悪死んでいるかも知れないと考えていたのでしょう…。
私はそう思うと、急に笑いがこみあげ、何が可笑しいのか笑い出していました。
私は笑いながらは昨夜の出来事を思い出し…自分がいま可笑しいのか…恐ろしかったのか…悔しかったのか…それとも悲しかったのか…
色んな感情が混ざり合って…笑いはいつのまにか、嗚咽に変わり涙が溢れ、なかなか泣き止むことが出来ませんでした…。
後日、私は同僚を問い詰め、なぜあんな酷いことをしたのかと問い質しました。
しかし同僚は知らぬ存ぜぬの一点張り…最後まで男友達に鍵を貸したこと、私の電話番号を教え、電話の約束ごとまで教えたことを認めませんでした…。
更には私の被害妄想だとまで…。
最後にはお互い罵声を浴びせ合うほど激しい喧嘩をして別れたのです…。
私はその後…不眠症になり2年ほど心療内科に通院しました…。
いまだって決して完治した訳ではありません…。
夜、寝る前には最低でも3回は家のすべての戸締まりを確認し、少しの物音でもすぐに目が覚めてしまい、そのあとは再び眠りにつくことができないのです…。
…もし夜中に目覚めて部屋の隅に黒い人影を見てしまったら…私は今度こそ…一生眠れなくなるかもしれない…そんな恐怖と毎日戦っています…。
私のトラウマは一生消えないのです…。
思いの外、長い文章になり申し訳ありません…。
誤字、脱字もあったかもしれませんが、どうぞお許し下さい。最後まで読んで下さった方々ありがとうございました。
宜しくご指導お願いします。
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作者怖話