これは、私が小学生の頃に当時通っていた塾の先生がしてくれた話です。
その塾の先生が子供の頃、今と違って受験戦争なんて言葉もない時代でしかも夏休み、野球少年だった先生(以後A少年とします)は毎日朝から日が暮れるまで友達と近所の空き地で野球をして遊んでいたそうです。
そんなある日、いつもの空き地で野球をしていたA少年は守備をしていました。もう夕暮れ時になった頃、バッターの打ったボールが自分の遥か上空を越えて飛んでゆき、近所の家の庭に入ってしまいました。
その家はお婆さんが1人で暮らしていましたが、そういえばここんところ、姿見てないなぁと思いつつ、A少年は「ボール取らして下さい!」と声をかけつつ、入口から入っていきました。
声をかけても返事はなく、今日もお婆さんは留守の様でした。「どこかに出かけてるのかな」と思ったA少年はボールを探すと、軒下の物干し場の側にありました。
その物干しにはいつもお婆さんが着ていた浴衣が(夏なので)1着だけ干してありました。
友達から「まだかよー」と催促されたA少年はいそいでボールを取って戻ろうとしてふと、顔をあげてその干してある浴衣をみて腰を抜かしたそうです。
それは洗濯して干してある浴衣ではなく、浴衣を着たお婆さんが首を吊っていた姿だったそうです。
怖い話投稿:ホラーテラー 杏雅素さん
作者怖話