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中編3
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訃報

数年前の、ある寒い冬の日。

その休日、Kさんは彼女を家に上げて一緒に過ごしていた。

プルルルル…

突然、Kさんの家の電話が鳴った。

「もしもし…」

慌てて電話に出ると、生気のない男の声が聞こえた。

「警察の者ですが…」

淡々と、用件のみを簡単に告げる。

「え?もう一度良いですか?え?え?」

彼女が死んだという訃報。

当の本人である彼女は、こちらに背を向けてコタツに入り座っている。

ガチャッ…

……………

話が終わって電話を切った後も、彼女は依然と沈黙したまま座っている。

それまでに味わったことのない、重苦しい空気に包まれていた。

「どうしたの?こっちに座れば?」

彼女が沈黙を破って口を開いた。

……………

コタツに座るが、何だか恐ろしくて彼女の顔は見れなかった。

ガタガタガタッ!

突然、彼女がコタツの板を持って揺らし始めた。

上に置かれたものがあちこちに飛んで散らばる。

ガタガタガタガタッ!

繰り返し繰り返し…

狂ったように、揺らし続ける。

ガシッと彼女の腕を掴んで止めると、やがて大人しくなった。

ガバッ…

彼女は突然、コタツから起き上がるとどこかへと歩いていった。

ガシャーン!

ガシャーン!

台所のほうから皿やガラスを割るような音が響く。

その異様さに、Kさんは体が固まってしまい一寸も動けずにいた。

ガンガンガンッ!

つづいて、体のどこかを壁に強く打ち付けるような音。

ガンガンガンッ!

何度も何度も響いていた。

……………

やがて音がおさまると、不思議と体も身動きが利くようになった。

打って変わり、奇妙なほどの静けさに包まれていた。

家の中を一通り見回ったが、彼女の気配はなかった。

あちこちで割れた皿やガラスが散乱しており、目も当てられないような状態だった。

また一部の壁には、何かを打ちつけたような傷と血の跡のようなものが付いていた。

身震いと共に、もの悲しさが津波のようにドッと胸に押し寄せた。

プルルルル…

また、電話が鳴った。

「もしもし…」

先ほどの、生気のない警察官の声が受話器の向こうから聞こえる。

「今から、お宅に伺います…」

警察官はそれだけ告げると、電話は切られた。

ピンポーン…

しばし後、玄関の呼び鈴を鳴らす音が聞こえた。

慌てて玄関に向かって、そのまま凍りついた。

ドアスコープを覗くと、外では痩せ細った気味の悪い顔をした警察官が立っていた。

ガチャガチャガチャ…

鍵を開けてドアを開けようするが、なぜだかビクともしない。

ピンポンピンポンピンポーン…

警察官は、何度もしつこく呼び鈴を鳴らしている。

力ずくでドアを開けようともがくが、どうしても開けることが出来なかった。

警察官はチッと舌打ちをしてから、どこか去っていった。

その直後、ガシッと何者かに手で目を覆われ、そのまま気を失った。

それは誰だったのかは謎だが、手の感触などから恐らく彼女だったのかもしれないという。

気が付いた後、彼女の元へと駆けつけると全ては終わっていた。

彼女は見るも無残な姿で殺されており、その犯人もしばらくして捕まったそうだ。

その犯人は、やはりというか件の警察官であり…

後で見ると、家の玄関のドアに外側から血がベッタリと塗りつけられていたという。

あの時、彼女は助けてくれたのだろうか…

思い出すと、もの悲しいようなやりきれないような複雑な感情で胸が苦しくなると、Kさんは涙ながらに語っていた。

怖い話投稿:ホラーテラー geniusさん  

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