その日は30度を超える、物凄く暑い日だった。
夏休みが始まっているのに何故か自分は学校にいた。
1学期の成績で赤点、3科目以上の生徒は毎年恒例のサマースクールに出なければいけなかったからだ。
最後の日は出席してる連中と海に行く約束をしている為、心弾ませ授業が終わるのを待ちわびていた。
チャイムが鳴りソッコーで教室を出る時、女子のリーダー各のMが呼び止めた。
「あんた等、どっか行くの?」
「おぉ…。前の海岸に行くんだ!」
我々の高校は国道を渡り、砂防林を抜けるとそこはもう海!湘南海岸である。(遊泳禁止区域でサァーファー専門の海岸)
「あたし達も行っていい?」
断る理由も無いし、野郎ばかりじゃつまらないのでOKした。
コンビニで飲み物やお菓子を買って歩くこと5分、海に到着。
海で遊ぶ者、ボールを蹴る者、日焼けする者、それぞれが楽しんでました。
自分は前日、遅くまで集会に参加していた為、日焼けしながら眠っていた。
どれくらい寝ていただろう?
周りが騒がしい。
そして、Mが自分の所に来て、
「マサ!大変!W達が戻って来ない!」
直ぐに目を覚ますと、Mが海に指を差し、
「あそこに居るんだよ!」
50mくらい離れた所に浮き輪一つに3人しがみついているのが見えました。
無事に戻って来た水泳部のGが、
「いきなり波が大きくなって陸に向かって泳いでも引き戻されるんだ!」
「潮がこの湾内だけ引く現象が有るってじぃちゃんから聞いた事が有る。あいつ等、直ぐそこにいた筈なのにあんな所まで……。」
M達に先生を呼びに行かせ、Gにはじぃちゃんの船を出せるか聞きに行かせて、自分は海に行きました。
誰かが持って来ていたビーチボートを引っ張り、泳ぎが達者な奴と助けに向かった。(ちなみに自分は小学生の頃、平泳ぎで市の代表でした。)
海に入ると外とは打って変わってとても冷たく、長く入っていられないと感じた。
浮き輪に捉まっている奴等の所にはあっという間に着き、
「2人はボートに乗れ!」
自分ともう1人のWは浮き輪で戻った。
やはり帰りは波に引き戻され、なかなか浜に近付けない。
すると大きな声で、
「波に逆らうなぁ〜!波が過ぎた時、前に泳げぇ〜!」
Gのじぃちゃんだった。
ボートの奴等も聞こえたらしく、波が過ぎた時に皆で漕いでいた。
自分達も同じようにしていた。
Wがいきなり、
「マサ!何かに足がからまった!」
この一帯は流れて来た海藻が多いので、
「ワカメか何かだ。片方の足で磨り降ろせよ!」
段々、自分にも余裕が無くなって来ていた。
「マサぁ〜!これ、海藻じゃねぇ〜よ!潜って取っ・・・!」
その瞬間、Wが海に引き込まれた!
自分は潜ってWの手を掴み、浮き輪を持たせて必死に引き上げました。
顔を同時に出し、息を荒くしながらWは、
「足〜!引っ張ってるぅ〜!今も掴んでるよぉ〜!」
怖かったが潜り、確認しに行こうと下を見たその時!
Wの足にしがみついている人影が見えた。
ボートに乗っていた奴等がおかしい?と思ったらしく近くまで来てくれて、
「大丈夫か〜!」
「ちょっと、来てくれぇ〜!」
完全に余裕が無くなり助けを求めた。
すると、
エンジンの音がした。
すこし大き目のエンジン付きゴムボートが来た。
「今、助けてやるから!」
Gのじぃちゃんが連絡したらしく、近くの漁師仲間の人がボートを出してくれました。
「あっ!離れた!」
Wがいきなり言いました。
なんだったのかなぁ?と話しながらまず、Wをボートに上げ、さてと上がるかとボートに手を掛けたと同時に自分の足が引っ張られた。
もがいて足を上げた時、
見えました…。
自分の足を掴んだ防空頭巾の女の子。
それに、
その子の下半身を持つ、女性。その女性も女の子と同じように防空頭巾を被っていた。
もがいた瞬間、ボートの上で自分の手を掴み引っ張ってくれたWが、
「ぎぃやぁぁぁ〜!」
叫びながらも持ち上げてくれて、漁師さんも
「うわぁ〜!」
と、言いながら自分の足を持ち上げてくれた。
2人に見た?と聞くと、頷くだけで、寒さと恐怖で震えていた。
無事、浜辺に戻った時は先生達がいてこっぴどく叱られたのは言うまでも在りません。
海での話をしてるとGのじぃちゃんが、
「それはここら辺の空襲の時、亡くなった人だろう。ちょっと先で駅や海岸沿いを狙った空襲があってな。」
我々の学校より少し西の方角の駅で空襲があったのは知ってました。
有名な本、【〇〇のうさぎ】の舞台の場所で知られる駅です。
「噂には聞いてたが、本物を目の当たりにすると怖いな。組合でお祓いしてもらえるか?掛け合おう。」
漁師さんとじぃちゃんは話してました。
この場所と同じかどうか知りませんが、ブラザー〇ー〇さんもこのような事をテレビで言っていたと聞きました。
あまり怖くなくて、申し訳ありません。
怖い話投稿:ホラーテラー 濱っ子とうちゃんさん
作者怖話