「みなき、それはどうしたの?」
「川で仲良くなった子達と遊んでたらね、オンボロの小さい箱が流れてきて中に入ってた。みんな気持ちわるいからいらないって。だから貰ってきた」
「それは拾ってきたって言うんだよ」
「細かいよ。似たような意味だからいいじゃん」と会話しながら帰宅しました。
深夜眠っていると隣の部屋から、みなきの叫び声が部屋中に響きます。
何事かと思い駆けつけると部屋の窓が開いており、みなきがいません。
窓から外を覗くも、ここはアパートの五階で足場がないので外からの侵入は無理です。
全ての電気をつけ部屋中を全て探しましたが、見つかりませんでした。
警察に連絡をして部屋中を調べてもらいましたが外部から侵入した形跡はありません。
引き続き捜索をお願いして私は警察に協力する為、朝から会社に連絡を入れ休みをとりました。
しばらくしてから、「うわっ!!」
「しっ!変な声だすな」との会話が聞こえます。
私は警官に「どうしたんですか?」と尋ねました。
「先程、お部屋を撮らせていただいた写真の中に写りの悪いものが数枚あっただけです」
「私にも見せていただけませんか?」と頼んでみますが、「何でもありませんから」と答えて見せようとしません。
「何でもないなら見せられるでしょう!!」と詰め寄って写真を見ました。
窓に、はっきりとした恨みと悪意に満ちた睨む顔。
開いた窓や、みなきのベッドに無数の手が写り込んでいました。
一番酷いのは存在を見せつけんとばかりに憎たらしい満面の笑みで顔だけのアップが写っています。
怖いというより怒りが込み上げました。もし触れることができるなら思いっきり殴りたい心境です。とにかく私は何か手掛かりが欲しかったので写真を無理言ってお借りして、お寺に行きました。
「これは生き霊です。生き霊は現存する人の恨み辛みが生み出すものですが、生き霊はやっかいです。例えば私が、あなたを強烈に恨み続けて私の生き霊ができたとします。
あなたのもとへ行った私の生き霊はもはや私の意志で動かせるものではありません。生き霊は別物として活動します。
そして生き霊が存在し続けていく方法は二つあります。
一つは生み出した人間の恨み辛みの念を吸収し続けていく事です。
そのために生き霊は適度に創造者のもとに戻り、決して真人間にならないように判断力を鈍らせ、些細な事にも負の感情を募らせるようにします。
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怖い話投稿:ホラーテラー シルキーデイさん
作者怖話